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!!! 緊急事態発生 !!!

PCがウィルスにやられてしまったため、
LOVE OR DIE!!更新できず。
しばし待たれよ!!
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LOVE OR DIE!! 第十六章 涙のバレンタイン その3

二週間後、一通の手紙がポストにひっそりと置かれていた。
差出人は・・・佳代ちゃんだ。
俺は、歓喜した。
離れてみて私は、貴方無しでは生きられない事がよくわかりました。
だから直ぐにでも帰りたいです。
と書いてあるに決まってる。
俺もどうかしてたんだ。
本当にごめんね、俺も佳代ちゃんが居なけりゃ生きていけないよ、なんて返事が既に頭に渦巻いていた。
ところが・・・・・。
散々考えた結果、私は、もう二度とあなたの元には帰らないと決心しました。
あなたは、自分の夢に向かって突き進んで下さい。
あなたには、もう付いていけません。
いままで本当にありがとう。
そして、最後に辛いけど・・・さようなら。
ああああああ、そんな馬鹿な!
嘘だ、嘘に決まってる。
佳代ちゃんが俺と別れようなんて思う筈がない!
これは、何かの間違いだ。
そう思いたい。
夢であってくれ!
何度読み返したことか。
時間が止まってしまった。
いったい何時間泣き続けたことだろう。
楽しかった想い出ばかりが蘇る。
何を言ってもはい、大丈夫ですって笑顔で答えていた佳代ちゃん。
本当は、疲れ切ってへとへとの時もあった筈だ。
俺の心無い一言に傷付いた時もあった筈だ。
それでも一切文句も言わずに付いて来てくれた佳代ちゃん。
こんな素敵な奥さんが他に何処に居るっていうんだ。
俺は、両手両足を鋭い刃物で一気に切断されたような心境だ。
いや、そんなもんじゃない。
生きるエネルギーを失ったも同然だ。
俺は、もう人間の屑だ。
このまま地の底まで落ちていく気がする。
俺は、トキエと別れた時に悲しみの中から何かを掴んだ気がしていた。
でも、またしても同じ過ちだ。
どうして相手の事をもっと思いやる事が出来ないんだ。
どうして自分の事で精一杯になってしまうんだ。
自分の良くない所は、充分わかっている積りなのに。
俺は、馬鹿なのか?
救いようの無いろくでなしなのか?
愛って何だよ?
人を愛するってもっと楽しい事じゃなかったのか?
それとも俺に人を愛する資格が無いって事なのか?
どうしてこんなに苦しい思いを繰り返さなくちゃならないんだ?
誰か教えてくれ!
誰か助けてくれ!
もう明日の事もわからない。
1分1秒先すらわからない。
今、俺が生きているのかどうかも定かじゃない。
何もかも見えない。
俺は、もう終わりかもしれない。

やばいな、立ち直れるのかな?次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十六章 涙のバレンタイン その2

包みを開けると、そこには俺の憧れの高級ライターが見事な光沢を放っていた。
馬鹿野郎!!
俺は、完全にぶち切れてしまった。
既に冷静さの微塵も無い。
どうして金がギリギリだって言ってる時にこんな物買うんだよ!
そんな金があるんなら借金の返済に回すのが常識だろうが!
頭おかしいんじゃないか?!
二人で飢え死にしたいって事か?
もうどうにも止まらない。
よくもそこまで酷い事が言えるなと思うような言葉が佳代ちゃんを機関銃のように打ち抜いていた。
そして、佳代ちゃんの俺への愛情が一杯詰まったライターを思い切り放り投げてしまった。
大輪の花の花びらが一枚一枚はらはらと落ちるように佳代ちゃんは、崩れ落ちた。
やがて大粒の涙と共に或る程度予想は出来たものの決して聞きたくなかった一言が、運命のように俺の胸を突き刺していた。
もう・・無理です・・・出て行きます。
そこで素直に俺が悪かったと言えれば、確実に元に戻れた筈なのに。
なのに俺の口から出て来た言葉といったら・・・。
ああ、出てってくれ!今直ぐ出ていけ!
完全に魔が差したとしか言えない。
何で自分が一番恐れている事を自ら招き入れるように口走ってしまったのか?
そんな事は、全く頭に無かった筈なのに。
・・・いいんですね・・・本当に・・・。
引き止めたい、これが佳代ちゃんが差し出してくれた最後のチャンスかもしれない。
いいって言ってんだろ!うるせぇなぁ!
何故だ?違う、全然違う。
俺は、佳代ちゃんが居なくちゃ駄目なんだ。
どうしてそれが言えないんだ?
・・・止めないんですね?・・・・・・。
止めるわけねぇだろ!
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
どうして一言謝れないんだ。
心と裏腹な言葉しか出てこないのは、何故なんだ。
胸が締め付けられる。
この世が終わりそうだ。

全く駄目な男だぜっと次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十六章 涙のバレンタイン その1

結婚してもうすぐ4年が経とうとしていた。
店は、相変わらず良かったり悪かったりの一進一退だ。
未だに息を抜く事が出来ない。
佳代ちゃんには、辛い思いばかりさせて心が痛い。
常にピリピリしている俺を本当によく支えてくれていると感謝している。
だが、そんな気持ちとは裏腹に俺は、彼女に対してどうしても酷い態度をとってしまっている。
やはり甘えているのだろう。
見た目は、華奢な佳代ちゃんだが、心の器は、俺とは比較にならないでかさだから辛うじて何とかなってるようなもんだ。
刺々しい言葉を浴びながらも平然といなしてくれる。
他の人ならこうはいかなかった事だろう。
この時既に、俺は、佳代ちゃん無しでは、バランスのとれない状態だったに違いない。
それでも佳代ちゃんへの感謝の気持ちを俺は、何かで表したかった。
思い切ってマンションを買った。
多額の借金ではあったが、佳代ちゃんの為なら何でも出来るという所をどうしても見せたかったんだと思う。
経済的には、益々苦しくなるのはわかっていても二人なら乗り切れる。
理想では・・・・。
そして、運命の分かれ道となる日がやって来た。
ふう、今日も何とかギリギリセーフの売り上げだ。
佳代ちゃん、毎日殆ど俺と同じ時間働いてて大丈夫か?
いいんだよ、休みとっても。
確かに疲れるけどダーリンが一緒だから大丈夫です。
それに人件費の節約にもなるし。
早く楽させてあげたいのにそれが出来ていない自分が情けない。
そんな事より今日は、早く帰りましょう。
ん?俺は、そのさり気無い言葉の意味がわからなかった。
家に帰ると佳代ちゃんのテンションが妙に上がっている気がする。
佳代ちゃん、どうしたの?
何か良い事でもあったのか?
うふふ、はい、プレゼント!
えっ?
俺、今日、誕生日じゃないぞ。
ダーリン、今日は、バレンタインディですよ!
あ、ああ、そうか。
本当なら大喜びしたい。
だが、家の経済状態を考えると複雑だった。
しかし、折角佳代ちゃんがおれの為に用意してくれたんだ。
有り難く受け取ろう・・・と思っていたのだが。

その先が、気になりつつ次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十五章 新たな選択 その3

少し持ち直して来てはいるが、ぎりぎりだ。
余裕のよの字も無い。
俺の頭の中は、仕事が99%。
残りの1%が辛うじて佳代ちゃんへの思いやりってとこか。
ダーリン、少し休んだ方がよくないですか?
もう何ヶ月も働きっ放しですよ?
仕様が無いだろ、厳しいんだから。
でも、病気とかなったら大変ですよ?
大丈夫だよ、死にゃしないよ。
1日休んで気持ちをリフレッシュした方がいいって時もあるんじゃないですか?
おい!誰の為にこんなに働いてると思ってんだよ!
お前を幸せにしたいからじゃないか!
ええ~っ、そんな事言われても・・。
お前がふわふわしてっから俺がびしっとしてなきゃなんねぇんだよ!
そんな~。
もういいから黙っててくれ、イライラするから。
・・・・・・・。
小刻みに震えて涙が溢れ出した佳代ちゃんを見て俺は我に帰った。
あっ、ご、ごめん、俺が悪かったよ。
・・・・・・・。
どうかしてたんだ、もうこんな酷い事言わないから・・・本当にごめんね。
・・・私・・ダーリンが心配になって・・・。
うんうん、わかってるよ。
私って・・・駄目な奥さんですか?
何言ってんだよ、最高の奥さんに決まってるじゃないか。
・・本当ですか?
ああ、本当だよ。
・・よかったです。
俺は、力強く佳代ちゃんを抱き締めたが、仕事への不安は、消える事は無かった。

結婚って何だろう?
幸せって何だろう?
愛し合う二人が一緒に暮らせるだけで幸せなんじゃなかったのか?
愛があれば、それで充分だった筈じゃないのか?
仕事がどうの、経済的に苦しいからどうのって、それと二人の愛とどっちが大切なんだよ?
本当は、全てわかってる。
わかってるのにこんなに振り回されるのは、何故なんだ?
俺が弱いからか?
俺がだらしないからか?
こんなんじゃ駄目だ。
佳代ちゃんは、俺に全てを託してる。
もっとしっかりしなくちゃいけない。
でも・・・壊れそうだ・・・。
俺は、全ての面でぎりぎりの状態だったのかもしれない。

危険な雲行きを感じつつ次回へ続く


LOVE OR DIE!! 第十五章 新たな選択 その2

カスミやオズでもこういう経験は無かったという所が時間の掛かった原因かもしれない。
川上正太郎、23歳。
俺は、この男にどちらかの店を任せてみようと決意した。
姉妹店は、最寄り駅は違っても本店から歩いても15分という場所だ。
その方が何かと便利だろうという単純な理由からだったが、この判断は、一概に正しかったとは言えなかった。
何がまずかったかと言えば、諸に比較されてしまう点だ。
内装の雰囲気もメニューも同じ。
となると違うのは、働いている人間だ。
初っ端が肝心という意味で俺は、2号店を担当する事になった。
出だしは、予想通り好調だ。
しかし、それと反比例するように本店の売り上げがどんどん下がる。
正太郎は、一生懸命やっている。
味だって落ちたわけじゃない。
だが、その理由は、どうやら別の所にあったようだ。
二十歳そこそこの小僧が、この町に居付いて一生懸命やっている。
若いのに感心だ。
応援してやろうじゃないか。
実は、商店街を挙げてこの小僧を盛り立ててやろうという空気があったらしいんだ。
そんな暖かい気持ちも知らずに俺は、2号店へ移ってしまった。
有難うございましたの感謝の気持ちも述べずに。
応援してくれていた人達からすれば、面白くない。
なんだ、ちょっと繁盛したくらいでこの町から居なくなるのか、やっぱり他所から来た奴は、冷たいという思いだったんだろう。
その上、隣町と言えばライバルのようなものだ。
商店街の人達が、こそこそそんな事を言ってましたと正太郎が俺に教えてくれたのが2号店オープンからおよそ半年後だ。
お店のおじちゃんおばちゃんの影響力が甚大な土地柄でそんな噂になってしまった事は、致命的だった。
俺は、再度本店に戻り正太郎が2号店担当とポジション替えを試みた。
佳代ちゃん、俺、ミスったかな?
大丈夫ですよ、みんなきっと戻って来てくれますよ。
どうしてそんな事が言えるんだよ?
えっ?どうしてって言われても・・・。
根拠の無い事言ってんじゃねぇよ!
だって・・・ごめんなさい。
しまった、佳代ちゃんに当たってどうすんだ。
わかっていても止められない。
ここから僅かながら二人の歯車が狂い出した事を俺はまだ気付いてはいなかった。
自分でしっかり反省すべきなのにイライラを全て佳代ちゃんにぶつけてしまう。
俺は、いつまで経ってもちっぽけな人間だ。

思いやりが足りないぞ!次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十五章 新たな選択 その1

佳代ちゃん、仕事の事なんだけど。
はい、わかってます。
ん?わかってるって何が?
次のステップが欲しいんですよね?
おっ、流石は俺の奥さんだな。
はい、もうダーリンの顔を見たら何を考えているのかわかるようになったんです。
凄いな、それって。
借金も返したし、いつまでも現状のままじゃ嫌だって顔に書いてあります。
うんうん、その通り!
そろそろライブハウスへ向かうか、もっと大きな資金作りをするのか迷ってるんですよね?
大当たり!
え~と、私の意見としては、ライブハウスは、まだ先の方がいいと思います。
その理由は?
それは、この店が今が絶頂期だからです。
そんな時にここを捨てて他に行くよりもこの波に乗っかってお店を増やしたりして確実に資金を大きくしといた方が、効率がいいからです。
へぇ~、なかなか言うね、佳代ちゃん。
それにダーリンは、まだ20代です。
一生続ける仕事をライブハウスと決めているんならじっくり構えた方がいいと思います。
う~ん、なんか凄く説得力あるなぁ、そこまではっきり言われると。
よし、吹っ切れたよ。
ここの姉妹店を作ろう!
はい!賛成です!
以前ならこんな俺じゃなかった筈だ。
子供の時から何か一つの事に夢中になると他が全く見えなくなると親から散々言われてきた事を想い出す。
人の意見は、聞いているようで結論は既に決めていたに違いない。
深く考える事はしたが、方向は常に1カ所しか見ていなかったと思う。
そして、周囲からすればそれは今も同じに見えるのかもしれない。
そんな事はないと今までは突っぱねて来たが、自分の女房の意見ともなればそうはいかない。
佳代ちゃんのお陰で少し成長出来たようだ。
俺の人生は、もう俺だけのものじゃないんだ。
俺と佳代ちゃん二人で一つの人生って事なんだよな。
結婚ってそういうものなんだとなんとなくだが解り始めて来た気がする。

姉妹店を作るといっても事は簡単には進まなかった。
それは、資金的な事ではなく人材に関してだ。
店が2軒ともなれば、俺は、どちらかの店にベタ付きになる筈だ。
両方に店長をおいて自分は、悠々自適のオーナー稼業という程の余裕は無い。
だとすると、自分の分身のような信頼出来る人材を育てなければならない。
この作業に2年間を費やした。

この選択が良い方にでればいいんだが・・次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十四章 5年間の集約 その3

俺の店、いや、俺と佳代ちゃんの店アイドールは、開店して早くも3年が経過していた。
相変わらず毎日沢山のお客さんがやって来てくれている。
色々な雑誌に採り上げて貰った事もあり、まさに絶好調が延々と続いていた。
開店時に銀行から借りた借金も全額返済出来た。
これで少し肩の荷が下りたとも言える。
俺は、この時を待っていた。
勿論、そんな気持ちは、佳代ちゃんも同じだった筈だ。
佳代ちゃん、俺達そろそろいいんじゃないかと思うんだけど。
はい、そろそろいいと思います。
加川裕也、24歳にして結婚の時。

俺と佳代ちゃんは、結婚届も提出して戸籍上は、もう他人じゃない。
籍を入れる前は、どんな違いがあるのかとわくわくもした。
だが、実感は、正直な所何も無い。
強いて言えば親戚が増えた事くらいにしか思えなかった。
男にとって結婚とは、この程度のものなのだろうか?
それに引き換え佳代ちゃんは、以前にも増して妙に明るくなった気がする。
やはり、女性にとって結婚というのは、人生の大きな目標で、それを成し遂げた時の喜びは、男とは比較にならないものがあるのだろう。
ダーリン、幸せ?
う、うん。
本当に?
ああ、幸せだよ。
ふふ、私も。
こんなやり取りも普通ならいちゃいちゃ楽しそうにするものなのかもしれない。
だが、俺の心境は少し違っていた。
心の底から湧き上がるような幸福感は、正直な話、感じていたと言えば嘘になる。
だからと言って佳代ちゃんを愛していないというわけじゃない。
誰よりも好きだし愛している積りだ。
なのに・・・この不安定な気持ちは何なんだ。
結婚って何だろう?
結婚すればわかると誰かが言っていた気がする。
だが、俺にはまだ理解出来ない。
養っていかなきゃいけない人ができ、社会的な責任も違うって事は、勿論わかっている。
だが、そんな事よりもっと大切な何かがある筈だ。
独身の時には、感じる事の出来ない大きな充実感のような何かが。
俺達の選択は、間違っていたのだろうか?
どうしてこんな思いに駆られるのか自分でも全くわからない。
間違っても佳代ちゃんにこんな心境を聞いて貰うわけにもいかないし。
時が経てばあの時は、あんな気持ちだったなと一笑に付す事が出来るようになるのだろうか?
きっとそうなる事を信じよう。

要するにまだ若いって事なんじゃないの?次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十四章 5年間の集約 その2

わがままな娘ですが、宜しく頼みますよ。
はい!こちらこそご心配お掛けしますが、今後とも宜しくお願いします。
じゃあ、私ちょっとお見送りしてきます。
はぁ~、何とか無事にすんだな。
それにしても話が急過ぎなんだよ。
ただいま!ダーリン!!
ダ、ダーリンって?
ずっとそう呼びたかったんです。
今日からあなたは、私のダーリンです!
・・・ふぅ・・・そう・・・・。
駄目ですか?
い、いや、いいよ、それで。
わぁい!嬉しいです、ダーリン!
う、うん。
全くの佳代ちゃんペースで話がどんどん進んでいる。
だが、それならそれでいいよという気持ちに何故かなっている自分に気付く。
なげやりという事でもない。
彼女がそうしたいのであれば、少し早急過ぎると思っていても強く反論する気にはなれないという意味だ。
それは、やはりトキエとの別れが結婚話の縺れだった事が大きな原因なのかもしれない。
自分の気持ちを優先した結果、掛け替えの無い存在を傷付け、悲しみのどん底に突き落とし、そして無くしてしまった。
そして、俺自身も愛する人との別れが、どれだけ辛く悲しく苦しいものかという事をあの時初めて知った。
初恋の相手、ヨーコと別れた時も辛かった事に違いは無いが、その比ではない。
やはり、あの頃は、女性を愛するという意味が解っている積りでもそうではなかったと今なら言える気がする。
俺は、わがままだった。
思いやりに欠けていた。
そんな身勝手さは、必ず相手だけではなく自分にも返って来るという事を教わった。
俺は、トキエに恩を返したい。
それには自分が、大きな愛を与えられる人間にならなきゃいけない。
佳代ちゃんの心は、何処までも澄んでいる。
ずっとそのままでいて欲しい。
身勝手極まりない生き方をして来た俺が、何処まで彼女を守ってあげられるのかわからない。
でも、出来る限りの愛情を佳代ちゃんに注ぎたい。
そんな思いが心の底からマグマのように湧き上がって来た瞬間だ。

少しは、大人になったって事か?次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十四章 5年間の集約 その1

これが、俺の店か。
5年間の自分が集約されているようだ。
広さは、たったの8坪。
だが、その8坪に俺の全てを詰め込んだ積りだ。
どう考えても失敗する筈がない。
と言うよりも俺の脳裏に失敗の2文字は、全く浮かばなかった。
この自信は、やはりカスミとオズを繁盛店に出来たという経験が大きく影響しているのだと思う。
厨房は、俺と募集の張り紙でやって来た吾妻君、ホールは、佳代ちゃんと彼女が集めた友人5名。
店の広さからしてスタッフ8人というのは、かなり人員オーバーとは思うが、新規開店ともなればこれで丁度いい位だろう。
よし、オープンだ!
予想は、完璧に当たった。
いきなりの満席状態が閉店時間まで続く事になった。
ふぅ、やっと終わったね。
はい、大変でしたね。
飯を食う時間さえなかった俺達は、バイトの引き上げた後にやっと一息つく事が出来た。
あのう、私に名案があるんですけど。
ん?何だよいきなり?
加川さん、このままじゃ無理です、死んじゃいます。
何言ってんだよ、大丈夫だよ、このくらい。
大丈夫じゃないです!
私がもっと力になります。
もう、充分力になってくれてるよ。
この位じゃ全然足りないです。
だから私、加川さんと一緒に住んでいいですか?
おい、それはちょっとまずいだろ?
佳代ちゃんの両親って凄く厳しいって言ってたじゃないか。
大丈夫です、ちゃんと説得しますから。
それにもう親には、加川さんの事話しちゃいました。
何て?
近い将来に旦那さんになる人だって。
ええ~っ!
駄目だったですか?
あ、いや、やっぱりものには順序ってもんが・・・。
そうかもしれませんが、もう遅いです。
う、う・・でも、やっぱり挨拶もまだしてないし。
それも大丈夫です。
今度の日曜日に両親連れてきますから。
か、佳代ちゃん・・・。
お店をオープンしたら暫くは、休まないって言ってたじゃないですか?
だから連れて来ます。
流石にこの時は、参った。
普段は、おっとりしてるくせにどうしてこういう時だけテキパキしてんだ。
そういう事ならこっちだってそれなりに心の準備とかあるのに。

そりゃ早過ぎだろって、次回はどうなる事やら

LOVE OR DIE!! 第十三章 愛しのパートナー その3

加藤先輩、今日、物件を決める積りです。
ああ、お前なら信用出来るよ、力になってやる。
俺達は、下北の不動産屋へ向かった。
ああ、あんたか。
残念だねぇ、30分前に手付金入れてった人がいてねぇ。
冗談であってほしかった。
あれ程、今日来るからって念を押しておいたのに!
俺の夢ががらがらと音をたてて崩れていくようだ。
下北に数ヶ月かよってやっと見つけた唯一の物件だったのに!
加川、これはきっともうちょっと待てって事なんだよ。
・・・・・・・・。
お前の予算でライブハウスは、やっぱり無理があるんだよ。
もっと資金を増やして再チャレンジした方がいいよ。
先輩・・・すみませんでした。

やはり、先輩の意見が正しいのだと思う。
時期尚早だったと認めるべきだ。
俺は、即座に頭を切り替えた。
とにかく資金を増やす方法を考えよう。
しかし、考えるったって俺に出来る事は、一つしかない。
それは、ライブハウスの資金拡大の為の飲食店を開く事だ。
これには、絶対の自信がある。
結果的に今までそのデモンストレーションをやってきたようなもんだし。
よし、明日から早速場所探しだ。

そういうわけで方向転換する事にしたんだ。
わかりました。
私も何となくその方がいいような気がしてたんです。
えっ?そうなの?
だって、勿体無いじゃないですか、今まで培ってきたものを発揮しないなんて。
まぁ、そりゃそうだけど。
加川さんなら絶対にいい店作れます!
そんな事言われると益々やる気が出てくるよ。
本当ですか?嬉しいです!
ちょっと天然ボケっぽいが、そこがまた佳代ちゃんの魅力なのかもしれない。
この子とならこれからの長い道のりもやっていける気がする。

これもきっと運命なんだ。
世の中、そんなに何でも思ったとおりにいかせて貰えるわけじゃないんだ。
それに、もしあのまま契約出来たとしてもちょっと準備不足だった気もするし。
余剰資金無しというのも危険過ぎたしな。
まだまだ甘いな、俺は。
これまでのやり方じゃあ、生意気なガキが勢いだけで突っ走ってるだけみたいなもんだよ、きっと。
もう少し慎重に考えて行動しなくちゃ駄目だ。
これからは、今まで以上に色々な責任も掛かってくる筈だ。
俺に全てを賭けようとしている佳代ちゃんの為にも大人として頑張らなきゃ駄目なんだ。
自問自答しながら子供の殻をまた一つかなぐり捨てた気がした。
加川裕也、21歳の時の事だ。

気持ちの切り替えも早いなって事で次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十三章 愛しのパートナー その2

将来の旦那さん・・・か。
随分気の早い話だとは思うが、決して冗談で言ったのではない事はわかっていた。
俺は、彼女ほど純粋で一途な人に出会った事がない。
とにかく心が澄み切っている。
佳代ちゃんと居ると自分が如何に汚れた人間なのかが浮き彫りにされてしまうようだ。
どうしよう?
佳代ちゃんに手伝って貰うイコール婚約みたいな意味合いだ。
でも、この子となら上手くやっていける気がする。
佳代ちゃん!
はい!
俺の力になってくれ!
はい!頑張ります!

俺は、毎日のように下北沢にかよった。
ライブハウスをやるなら絶対に此処だ。
理由らしい理由は無い。
強いて言えば、イメージだ。
此処にライブハウスがあれば絶対に盛り上がるというイメージがこんこんと湧き上がって来るというか。
当時、下北沢の他にも渋谷、新宿、高円寺等で既に幾つかライブハウスは、存在していた。
未知の土地に作るという案も勿論あったが、どうしても迷いが生じる。
そして、選択肢を絞っていくと、いつの間にか俺のライブハウスは、下北沢以外では考えられなくなっていた。
微妙なのは、予算だ。
トキエと二人で貯めた金じゃあ、とてもじゃないが追い着かない。
先輩に保証人になってもらって銀行から借りれる金もそれ程多くはない。
ぎりぎりだ。
ぎりぎりという事は、余剰資金も無いという事だ。
それは、非常に危険な賭けでもある。
散々考え抜いた末に俺は、やはり挑戦する事を選んだ。
ぎりぎりの予算で辛うじて何とかなりそうな場所が下北沢に1カ所だけあったんだ。

今年も始まったが、この話はいつまで続くんだ?次回へ当然続く

LOVE OR DIE!! 第十三章 愛しのパートナー その1

佳代ちゃん、今日は、大切な話があるんだ。
片付け終わったら俺も後から行くからいつもの店で待っててくれる?
はい!1時間でも2時間でも待ってますよ!
毎度の事ではあるが、俺は、彼女の素直で可愛い笑顔に全く持って太刀打ち出来ない。
俺のぶっきら棒な態度も佳代ちゃんのほんわかした空気に全て吸収されてしまう。
付き合い初めて数ヶ月ではあるが、二人の仲は、既に完璧とも思えていた。
ああ、ごめん、待たしちゃって。
全然平気です。
ところで大切な話って何ですか?
実は・・・・俺、店そろそろ辞めようかと思ってんだ。
ええ~っ!そんな!何でなんですか?
俺は、自分の夢を語る事にした。
じっと俺の話に耳を傾けていた佳代ちゃんではあったが、突然意を決したように言い放った。
それじゃあ、私もお店辞めて加川さんのお手伝いします!
そう言うんじゃないかとは思っていたけど嬉しいよ。
当たり前です、将来の旦那さんなんですもん。
ちょ、ちょっと待ってよ、佳代ちゃん!
そういう事は、もうちょっとじっくり考えてから・・。
えっ?でも、したじゃないですか。
ん?したって?
しましたよね?あれ。
あれって?
あれは、あれです。
だから、何だよ、あれって?
ん~、もう、愛の営みです。
ぷっ、なんだ、セックスの事か。
なんだ・・・って・・・・。
そんなに軽く考えてたんですか?
いや、ごめんごめん、そういう意味じゃないんだ。
でも、今の言い方って軽かったです。
そう聞こえたんなら俺が悪かったよ、ごめんね。
わかりました、誤解は解けました。
え~と、ああ、そうそう、そういうわけで私は、加川さんに付いていきます。

いよいよ行動開始か?次回へ続く(今年も有難う、来年も宜しく頼むぜ!)

LOVE OR DIE!! 第十二章 4年ぶりの我が家 その3

あのさ、俺も今、料理作る仕事だから訊くんだけど、これ何か特別な味付けしたの?
何言ってんの?
今日はね、あんたが子供の時から好きだったものを並べただけよ。
裕也、お前、料理やってんのに母さんの味付けの秘密がわからないのか?
母さんのお前に対する愛情が入ってるから美味いんだぞ。
あは、そうか、そうだよね。

もう両親に心配はかけたくない。
家にもちょくちょく顔を出す事にしよう。
これからは、絶対に親孝行したい。
俺に出来る最大の親孝行とは?
その答えは、家を出たあの時と変わらない。
親にとって、我が子が精一杯生きる事が一番の親孝行だ。
でも、もし自分の子供が突然いなくなり、何年も音信不通だったら・・どんな思いなんだろうか?
きっと身を引き裂かれるように辛くて、井戸の底のように暗くて重い地獄のような日々を過ごす事になるんじゃないだろうか?
これからは、心配をかけた分を何十倍にもして返したい。
俺は、まだまだ出来る筈だ。
両親を満面の笑みで満たす為にも全力で生きてやる。

もし、あの時ああしていたらなんていう事を考えても何の意味もない事は承知だ。
だが、仮にあの時、家出を踏み止まっていたら俺にはどんな今が訪れていたのだろうか?
そこには、また違った人達との出会いがあり、将来の目標もがらっと違っていたことだろう。
勿論、両親にここまでの心配をかけていたとは思えない。
だが、今ほど精一杯生きていたという可能性は、非常に低いだろうと容易に想像出来る。
だとすると、やはり親孝行という面でもあの時の選択は、間違っていなかったという事だ。
勝手な解釈かもしれないが、俺の人生における価値観は、俺自身が納得し判断を下したものが全てであると思う。
だから、後悔の念は、微塵も持っていない。
わがまま、自分勝手、思いやり不足、自己中心的、利己主義、横暴、無軌道、何とでも言ってくれ。
全部無視してやる。
俺は、俺だ。
俺の生き方は、自分で決める。
それが、間違っていれば壁にぶち当たるだろう。
だが、それも俺の生き方であり俺の人生だ。
這い上がって必ず壁を乗り越えてやる。
不器用でも何でもいい。
これが、俺のロックンロールだ。

これでまた少し大人になったかもって事で次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十二章 4年ぶりの我が家 その2

ああ、そうなの。
お父さん、裕也随分大人になりましたねぇ?
・・・そうだな、少しは世間に揉まれたらしいな。
裕也、今から父さんの言う事をしっかり胸に刻んでおくんだぞ。
ん?あ、ああ。
目標っていうのは、出来る限りでっかい方がいいんだ。
何故だかわかるか?
う~ん、何故って言われるとよくわからないけど。
あのな、世の中っていうのは、何でも自分の思い通りにいくもんじゃないんだ。
目標を立てたってそれが望み通りに叶うと思ったら大間違いだ。
目標が100ならその内叶うのは、頑張って50か60だと思っとけ。
それで運が良けりゃ、精々80だ。
だから目標が100なら初めから200にしとかなきゃ駄目だぞ。
200に行き着く為の努力を重ねればいつの間にか100に到達出来てる事になるからな。
二十歳の俺には、その意味が理解出来なかった。
だが、親父がこんなに真剣に何かを教えようとしている。
この言葉は、きっといつか役立つに違いない。
それからな、人間は、行いが大切なんだ。
良い行いをすれば良い事が帰って来るし、悪い行いをすれば必ず何処かでしっぺ返しを食う事になるんだ。
だから、自分の損得だけ考えるんじゃなくて、それが正しいのか間違っているのかをしっかり考えて生きなきゃ駄目だぞ。
ああ、わかったよ。
ずしりと胸に響く言葉だ。
俺は、親父から大切な財産を貰ったような気持ちになった。
さ、今日は、お前が帰ってきたお祝いだ。
母さんが張り切って作った料理が待ってるぞ。

久しぶりのおふくろの味だ。
美味い。
美味すぎる。
涙が出る程美味い。

親は偉大なり!次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第十二章 4年ぶりの我が家 その1

あれから4年以上が過ぎ去っていた。
仕事も恋愛もそれなりに精一杯やってきた積りだ。
ほんの少しではあるが、自分に自信も付き始めてきた。
親父も少しは認めてくれるかもしれない。
よし、家に帰ろう。

ただいま!
裕也かい!
ああ、心配掛けちゃったけど帰って来たよ。
こんなに嬉しそうな母の顔を見たのは初めてだった。
ああ、帰って来たんだねぇ。
そうかい、そうかい、やっと帰って来てくれたんだねぇ。
熱いものが込み上げるが、そこは敢て冷静を装った。
少しでも大人な部分を見せたかったのかもしれない。
親父は?
あんたが今日帰って来るっていうんで会社を早上がりしてさっきから奥の部屋でずっと待ってるよ。
た、ただいま。
座れ!!
あ、ああ。
お前は、いったい今まで何やってたんだ!
母さんがどれだけ心配したと思ってんだ!!
どうして電話の一本も掛けてよこさなかったんだ!
怒涛の如く叱られるのはわかっていた。
それだけの事をしたんだから仕方がない。
でも、怒鳴られれば怒鳴られる程、何故か嬉しかった。
涙が出るほど嬉しかった。
何年離れていようが、ずっと俺の事を思ってくれていた。
ずっと心配してくれていたに違いない。
俺は、この家に生れてよかった。
この二人の息子で本当によかった。
裕也、もうアパート引き払って家に戻ってきたらどうなんだい?
それが、母の願いなのは重々承知だ。
いや、そういうわけにもいかないよ。
どうしてだい?
俺、家にいるとどうしても甘えちゃうしさ。
もっと厳しい状況の中で自分自身を鍛えたいんだ。
仕事は、順調だけどまだまだ世の中のスタート地点にいる程度だし。
これからの目標だってあるんだよ。

やはり我が家はいいもんだって事で次回へ続く

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