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DIARY

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LOVE OR DIE!! 第三十二章 不器用なカップル その1

 

自然の成り行きのようにユキは、俺の家に住む事になった。

恋人同士というよりも友達が同居している感覚に近いかもしれない。

ユキは、勿論女性ではあるわけだが、口調も態度も半分は、男と言ってもいいくらい威勢がいい。

だが、それが、本来の彼女の姿でない事は、数ヶ月で見破れた。

女である事へのコンプレックスなのか、弱い部分を見せたくない為なのか、どちらにしてもその本心を問い詰める気持ちは無い。

二人のバランスが程よく成り立っていればどうでもいい事だ。

仕事も一生懸命やろうとしているのはよく分かるんだが、肝心な所が緩過ぎる為に長続きしない。

例えて言えば、残業代も出ないのに一人遅くまで居残る事も頻繁だ。

しかし、その分、数時間の遅刻も同じくらいしてしまう。

独立して仕事をしているのならそれも問題無いが、組織の中でそれは、許されない。

だから、遣り甲斐のある仕事を見つけても長続きさせる事が出来ずに自分を責める。

初めて飲んだ時に散々自分を卑下するような事ばかり言っていたのは、こんな部分からなんだろうと思った。

遅刻に関しては、俺も中学の時に学校始まって以来の遅刻王の名を欲しいままにしていたのであまり偉そうな事は言えないが、それにしても少し酷すぎる。

酷すぎるんだが、自分も同じ穴の狢でもあるので気持ちは良く理解出来る。

だいたいこんなに決められた時間を守ろうとするのは、世界中で日本人くらいのもんなんだから気にするななんて適当に慰めてはみるものの改善策には何もなっていない。

そして、結局飲みに走るというのが、毎度のパターンだ。

だが、俺は、そんな駄目な部分のユキも嫌いじゃなかった。

逆に常に時間厳守だったとしたら俺の方が、飲みに走りまくっていたかもとも思う。

だからいいバランスは、一応とれていたんだと思う。

この出来損ないのようなカップルは、世間の予想というものがあるとするなら予想を遥かに超えて長く続いた。

恋愛は、3年が賞味期限と言うが、既に4年が経過していた。


駄目駄目カップルも時には悪くないのだ。次回へ続く


 

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LOVE OR DIE!! 第三十一章 40歳を超えた時 その4

 

・・・ああ~っ、ライブハウスのおじさん?!

おじさんじゃなくてお兄さんですけど。

どっちでもいいけど何?

何って・・・・。

ああ、そうだった、飲みに行く約束してたんだったよね?

一週間以内に電話しなければ店の前にうんこ置いとくって言われたからしたんだけど。

うんこ~?

言わないよ、そんな事。

やっぱり憶えてないのか。

まぁ、いいや、あたしと飲みに行きたいんでしょ?いいよ。

いいよって・・・・。

明後日が、仕事休みだから明日の夜なら付き合ってあげてもいいよ。

むうう・・・いつの間にか話が逆転してるが、女の子だしそういう事にしといてやるか。


 

そして、当日、適当に落ち合って彼女の行き付けの店で飲む事になった。

はっきり言って猛烈に酒癖が悪い。

最初の内は、少しは、女の子らしい部分も見えたが既に大虎と化している。

おじさん!あちしさぁ~、ほっんとうに駄目な人間なんだよ~。

駄目ってどんな所が?

だらしないっつうか、情けないっつうか・・・。

そんな事ないだろ?

仕事だってちゃんとしてんだろ?

そういう事じゃないんだなぁ~。

ライブとか観てるとさ~、みんな真剣じゃん。

あちしなんか、全然真剣に生きてるって思えないんだよ~。

俺は、こういう子に弱い。

放っておけなくなってしまうというか、一人にさせておけないというか・・。

うい~っ、酔っ払っちったよ、おじさん!

じゃあ、そろそろお開きにすっか?

んん~?な~にが、お開きだよこの野郎、うち来い、うち!

うちで飲み直そうぜ、おっさん!

参ったな~、じゃあ、ちょっとだけ付き合おうかな。

よし!いい度胸じゃねぇか、おっさん!

朝まで飲むぞ~、このくそ親父と!

・・・最悪の展開だなぁ。


 

女の子の一人暮らしというとオートロック式のワンルームマンションなんかが多いようだが、ユキは、所謂昔風の古いアパートに住んでいた。

一生懸命生きている感がとても充満した、いい空間だと思った。

壁のブルーハーツのポスターが、ユキの守り神のように見えた。

おじさん、あちしみたいのって嫌いじゃないでしょ?

ああ、そうだね。

ふ~ん、結構好きなタイプだったりして?

じゃなきゃ此処まで来ないよ。

朝まで飲もうと言っていながら1時間後には、酔い潰れてしまったユキを俺は、傍らでじっと眺めていた。

自分の事を散々駄目だとか言っていたが、彼女の寝顔は、純粋で正直に生きている人の表情そのものだと思った。

素朴でいい子だ。

眠りから覚めたら付き合ってくれって言う事になるような気がする。


純粋で正直ってとても大切だよね。次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第三十一章 40歳を超えた時 その3

 

そんな或る日、ユキに出会った。

コアなファンを持つパンクバンドが出演した日だった。

彼女は、相当酔っ払ってはいたが、実に幸せそうな表情をしている。

全身汗だくになり思いっきり自分を解放出来た満足感に満ちているように見えた。

楽しかった?

うん、もう最高!

歳は、20代後半だという。

おじさん幾つ?

えっ、おじさんはないだろ?

じゃあ、お兄さん幾つ?

28!

馬鹿言ってんじゃないよ、40ちょい前くらいなんじゃないの~!

いいじゃん、歳の話なんて。

そうだよね、そんなの関係ないよね!


 

それから1ヵ月後くらいだろうか、彼女は、またやって来た。

おじさ~ん!元気~!

おじさんじゃないけど元気だよ。

今日も楽しかった~!

そうかぁ、良かったね。

じゃあ飲みに行こうか!

おっと、そう来たか。

行きたいのは、山々だけど、俺まだ仕事終わってないんだ。

ちぇ~っ!つまんないの!

じゃあ、いつ飲みに行く~?

そうだな~、今いつって言われても分かんないから名刺渡しとくよ、連絡先書いてあるからさ。

じゃあ、あたしの電話番号も教えとくから時間がある時連絡くれる?

了解!

あっ、今、了解って言ったからね、言ったからには絶対に連絡があるって事だからね!

分かったよ、必ず連絡するから!

嘘ついたら店の前にうんこ置いとくからね!

汚ねぇなあ。

一週間以内に電話無かったらうんこね!じゃあね~!


 

何が、じゃあねだよ。

でも、面白い子だとも思った。

こういう開けっ広げな子は、嫌いじゃないし話していても気持ちがいい。

かなり酔ってたから適当にあしらった積りだったが気になる。

取り敢えず来週にでも電話だけはしてみるか・・・。


 

もしもし、スモーキーの加川と申しますけど。

えっ、誰?

誰ってほら、一週間以内に電話くれって言われたんですけど・・・。


おじさんって呼ぶな!次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第三十一章 40歳を超えた時 その2

 

エネルギーを共有出来るという事は、与え合えるという意味でもあるし共にその瞬間を生きるという事でもあると思うんだ。

もっと簡単に説明すると生きてる実感を同時に感じる事が出来るという意味だ。

これは、何にも増して掛け替えの無い素晴らしい事だと思う。

そんな素晴らしい体験が出来る事と辛い部分を秤に掛けてどちらが重いかで長く続けられるかどうかが決まるような気がする。

辛い方の話に戻るが、終わりが無いというのも非常に辛い事の一つだ。

1日のブッキングが完成したらそれで終わりというのなら楽なんだが、店が無くなるかこの世が終わらない限りブッキングに終わりは無い。

仕事に夢中になっている時は、そんな事は意識の欠片にも無いんだが、ふとした時にそんな思いが湧き上がって来る。

そうすると、まるで自分の人生を丸ごと持っていかれるみたいな錯角に陥ったりするものなんだ。

そこに嵌ってしまうと精神的にやられてしまう場合も充分有り得るという事だ。

一生落ち着ける時が訪れないみたいな気がするって言えば分かりやすいと思うが。

俺の場合は、十五、六の時からこれでもかと言わんばかりに世の中に踏み付けられて来たから何とかなっているものの、これが社会に出て一発目の仕事だったらおそらくノイローゼになっていた確率は、結構高かったんじゃないかとも思えるくらいだ。

若いブッカーが長続きしないのは、こんな所にも原因があるような気がする。

こんな話ばかりしていると誰も俺の後を引き継がなくなってしまうので喜びを感じられる部分に戻ろう。

さっき話したバンドとの気持ちの共有もそうなんだが、最大に嬉しい瞬間というのは、実は、他にあるんだ。

それは、ライブが終わってお客さんが帰って行く一瞬に見られる笑顔だ。

ああ、今日は、楽しかったな、来て良かったなっていう満足した表情やライブを観て何かを得たぜってうきうきわくわくした顔でお疲れさんなんて例え声に出さなくてもそんな空気を感じた時は、やったぜって気持ちになれるんだよ。


 

自分の為じゃなく、誰かの為に何かが出来た時というのは、幸福感を得られると言うが、本当にそうなんだ。

こういう心理は、人間が本来産まれた時から備わっているものだと思うんだが、厳しい世の中で生きていく上でいつの間にかお座成りにされがちなんだと思う。

俺が今迄付き合ってきた女性に散々言われ続けて来た与える愛を知らないという部分がまさにその典型のようなものだ。

与える愛を知らないわけじゃないんだ。

与える余裕が無いんだと思う。

何故かと言えばそこまでの器が出来ていないという事なんじゃないかと思うんだ。

40歳を過ぎてやっとそこに気が付いたような気分だ。

心にもっと余裕を持とう。

自分の欲だけに走っちゃいけない。

そんな所に本当の幸せなんて無いんだ。

自分が毎日積み重ねている事は、如何に満足して死ねるかという終着点に向かっている。

その満足感というのは、如何に他人を幸福に出来るかという事だったんだ。

そして、その如何にの部分が自分のやりたい仕事であればそれでもう充分な気がする。

だから俺は、この仕事を続けられるんだと思う。

若い時には、自分も40歳になるなんて事は、考えてもみなかった。

30で燃え尽きてやるなんて嘯いていた時期もあった。

だが、実際に40を過ぎると今迄見えなかった物が沢山見えてくる。

人生の面白さもようやく少しづつ分かり始めて来たような気もする。


だから40過ぎの男はもてるのかもしれないな。次回へ続く

LOVE OR DIE!! 第三十一章 40歳を超えた時 その1

 

スモーキーを開店して既に10年以上が経過している。

相変わらず毎日が戦いのように思える。

それは、経営者としてではなくブッカーの立場でもあるからだ。

周りを見るとブッカーを長く続ける人は、非常に少ない。

何故かという質問には、直ぐに答えられる。

精神的に非常に辛いからだ。

バンドにノルマを掛けて只スケジュールを埋めるだけというやり方をとっていたとしても辛い事には違いがない筈だ。

何故ならいい加減なブッキングをしている店には、いいバンドが寄り付かなくなってしまう。

そして、いいバンドが出ていなければそれが連鎖する事になり、店のイメージが低下する。
そうなってしまうと出演したいというバンド数も減少してスケジュールを埋める事が困難になってしまうというわけだ。

ライブハウスは、ブッカーの腕が悪ければ数ヶ月で駄目な店になる。

ノルマ制度を取り入れていないうちのような店だと数ヶ月で潰れる事にも直結するという事だ。

だから、日々気を抜く事が出来ない。

言い換えれば真面目に仕事をしようと思えば思うほど辛くなるのがブッカーの宿命のようなものだと今更ながら分かって来た気がする。

それでも今迄一度も辞めたいと思わなかったのは、それに相反して大きな喜びもあるからだ。

ライブハウスは、バンドにとって終着点ではなくあくまで通過点だ。

植物で例えるなら初めてライブハウスに出演するバンドは、種のようなものだ。

そこに水をやり肥料をやりやっと実が付きはじめる。

そして、花が咲く直前まで付き合うのがライブハウスの役割でもあると思う。

実が付く前に枯れてしまうバンドも沢山いる。

実が付いてもそこまでのバンドも数知れない。

メンバーを組み替えて再度種からスタートし直すバンドも多い。

花を咲かせたバンドをどれだけ送り出せたかが大事と思う人も多いかもしれないが、それは確かに嬉しい事だが、ライブハウスで働く側からすると嬉しい事は、それだけじゃないんだ。

目標に向かって諦めずに頑張っている連中と同じ気持ちで喜んだり苦しんだりする中にも大きな生き甲斐を感じるんだ。

花を咲かすと言ったが、その花も色々だ。

メジャー契約をして有名になるのも花だし音楽的に極める所まで行き着くのも花だ。

花の形はそれぞれでもそこには、大きなエネルギーを必要とする事になる。

そのエネルギーを共有出来るのがライブハウスの人間なんだ。


10年経ってやっと分かる事も色々あるのだ。次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第三十章 宇宙エネルギー その2

 

Sさんの治療方は、全く異色で体に触れないで俺の体を動かしたりするから最初は、驚いてしまった。

だが、慣れてくると何となくその原理というか、その施術方に違和感のような物を全く感じなくなるから不思議だ。

痛みは、少しづつ減っていき数ヶ月で元の状態に戻る事が出来た。

Sさんとの出会いが無ければ俺は、今どうなっていたのか分からないし店を続ける事も出来たかどうかも分からない。

俺は、何となくだが、このSさんとの巡り会いが偶然のものとは思えなかった。

理屈では、説明出来ない。

強いて言えば感覚でそう感じたとしか言えない。

これは、前世で友達だったとか夫婦だったとか何かそんな作用が働いて出会うべくして出合ったように感じる。

初対面なのにお互い古くからの知り合いのように感じる人というのがいる。

俺にとっても今までそう感じた人が過去に数人いたが、その中でも一番確信的に何かを感じたのがSさんだった。

この感覚は、おそらくSさんも同じだったんじゃないかと薄々感じたのは、決して驕りでも思い込みでもないと思う。

そんな馬鹿なと思うかもしれないが、彼女の瞳は、そう語っていた。

物凄く勝手な解釈をすれば、Sさんは、俺を助ける為に此処に就職したと言っても過言ではないのかもしれない。

勿論、Sさんは、大勢の人を助けて来たと思う。

だが、俺にとっては、今の症状を治せる人は、Sさんしかいなかった。

出会える確率は、何億分の一なんてもんじゃない。

宝くじが10回連続して当たる確率より低い筈だ。

なのに目の前にSさんが現れた。

これを偶然と言ってしまう程、俺は、無頓着じゃない。

俺は、彼女こそ生き菩薩だと思った。

人は、窮地に追いやられた時に必ず何かに出会うという。

そして、それを確実にキャッチ出来ればそれを元に修正したり反省したりして前に進む事が出来るというのが仏教的教えにもある。

Sさんは、とても美人だが、女性として見てはいけないと思った。

もっと高貴というか、言ってみれば天使のような存在だ。

そんなSさんは、俺と同じ町に住んでいる。

これもそうなるべくしてそうなったという感じがする。

歩いても5分の距離だ。

だが、会うのは年に数回だ。

最近は、体調がどうのというよりもパワーが欲しくなった時に足が向いているという感じだ。

以前話したUFOのメッセージもSさんとは、ごく当然のように語り合う事が出来る。

俺のような凡夫は、現実社会に埋もれてUFOの事等頭から離れてしまう事もしばしばだ。

だが、Sさんレベルとなるとあっちとこっちを自由に行き来して、尚且つそれが自然な日々に溶け込んでいるように見えるから凄い。

目に見える物しか信じない人は、意外と多い。

意外というのは、俺なりの感覚で実際は、過半数を遥かに超えているかもしれない。

だが、俺もSさんも目に見える物と同じ数だけの目に見えない物が存在していると思っている。

俺やSさんのような人は、これから増え続けると思う。

その理由は、次にまたUFOの事を話す時にじっくり説明しよう。

という事で、今回のような時は、Sさんが元の体調に戻してくれるという安心感が俺の行動力にも影響していると思う。


偶然と必然は、実は、リンクしているという事ですな。次回へ続く


 


 


 

LOVE OR DIE!! 第三十章 宇宙エネルギー その1

 

店は、そんなに儲かるわけではないが順調に育って来ている。

いいバンドも多く出演してくれていると思うし世の中に対してうちなりの主張もしていると思う。

順風満帆とは、言いがたいが、問題点を一つ一つ乗り越えてじっくりと地盤が出来て来ているのを実感する。

だが、無理を重ねたせいなのか、体調が悪い。

疲れたとか頭が痛いとかそういうのとは、全く違った次元で宜しくないんだ。

理由は、分かっていた。

交通事故の後遺症だ。

俺は、昔、結構長い期間オートバイに乗っていて大きな事故を何回かやっている。

その中でノーブレーキで車に突っ込んだ事があるんだ。

あれは、最初の店を出して結婚するかしないかくらいの時の事だったと思う。

事故の時の記憶は、実際には数秒間でもコマ送りのようにしっかり脳裏に残ると聞いていたが、その説は、本当だった。

今も鮮明に覚えているから不思議だ。

交差点に差し掛かり、俺は、直進で信号は、青だ。

対向車は、右折ラインに入り減速している。

そうなれば、当然停止してくれるものと思う。

だが、何を勘違いしたのか急加速しやがったんだ。

こちらがゆっくり速度を落とすだけの距離が無い。

となると急ブレーキを掛けるか瞬間でぶつかるのを避けるかのどちらかしかない。

俺は、避ける方に賭けた。

このスピードで急ブレーキを掛ければ、間違いなくロックする。

ロックと言ってもこっちのロックは、ロック&ロールのように気持ちいいものとは違う。

タイヤの回転が固まるという意味で、車体がどう反応するかも分からない非常に危険な事態の事だ。

転倒する確率は、90%以上だろう。

転倒したら轢かれる確率も90%は超えていたと思う。

そんな判断を0、何秒かの内に判断をし、結局上手くすり抜ける作戦に失敗してノーブレーキで突っ込む結果になったわけだが、運ばれた救急病院がまずかった。

一応、脳波の検査とかはしたんだが、診断結果は、只の打撲だと言う。

打撲程度なら仕事は、出来るだろうと休まずフライパンを振ろうとすると腕が動かない。

誰かと話をしている時には、一瞬で記憶が無くなり何の話だったか分からなくなってしまう。

首と背中には、激痛が走る。

それでも事故で運ばれた病院に通っていたんだが、診断結果に変わりは無い。

おかしいと思い別の病院で再検査を受けると首の骨がずれていて事故直後にギブスをしなかったからいつか必ず後遺症が出るとの事。

それが、ライブハウスを始めて10年後、事故から15年も経って襲って来るとは思わなかった。

首から肩、背中、両腕に生涯味わった事の無いくらいの激しい痛みが周期的に襲って来る。

病院に行くと手術をして1ヶ月入院、完治まで3ヶ月、でも治らない可能性もかなり高いという。

1ヶ月は、絶対に休めないと思い、俺は、他の方法で治す手段を考えた。

マッサージ、鍼、灸、気功と何でも試したんだが、一向に改善されない。

そんな時に通っていたマッサージ店の店長が紹介してくれたのが宇宙エネルギーを使う若い女性の先生Sさんだった。


そういうのを使える人がいるという事は知っていたんだが・・・次回へ続く




 

LOVE OR DIE!! 第二十九章 愛を乞う人 その4

 

2~3時間は、経っただろうか。

虫の知らせのような嫌な予感で目を覚ますと横にいる筈のユリがいない。

しまった!全身を悪寒が走る。

偶々トイレに行ったとか、喉が渇いて水を飲みに行ったとかだったらいいのだが・・・。

灯りは、何処にも点いていない。

真っ暗な家の中の何処かにユリは、必ずいる筈なのに。

おれは、ゆっくりと音を立てずに台所へ向かった。

それは、勿論台所には、包丁が置いてあるからだ。

そうあっては欲しくない状況が、予想通り暗がりの中にあった。

身動き一つせず、じっと俺を待っていたかのようにユリの両手には、しっかりと包丁が握られている。

ユリは、自分の存在を認めてくれて愛をくれる存在が欲しいだけなのは、わかっていた。

それが、俺じゃなくてもいい事も理解している。

だから求婚された時に何も言えなかったんだ。

だが、彼女の目の前には、俺しかいない。

俺が、今、突き放せばユリは、本当に死を選んだだろう。

ユリ、うやむやな態度ばかりでごめんね。

俺達、結婚しよう。

ユリは、涙を流して大声で泣いた。

苦しかった毎日からやっと開放されるんだという喜びの涙だったんだと思う。

これでいいんだ。

間違ってはいないと思う。

ユリが救われる為には、俺が犠牲になるしかないんだ。

決して偽善とかそんなものじゃない。

尊い命が救われるんならそれ以上の何も無いと思ったんだ。

ここから愛を育てていけばいいじゃないか。


 

俺は、自分自身に踏ん切りを付けた積りだ。

ユリもこれから幸せになれるんだと信じていたと思う。

だが、残念ながら全くと言っていいほど噛み合わない。

心から愛し合っていたわけじゃない同士が結婚したからって上手く行く筈もないのが普通だったのかもしれない。

結婚生活は、短かった。

だが、彼女が立ち直れる切欠は、多少也とも作れたと思う。

それは、別れ際の表情が前向きだった事で充分わかる。

彼女は、いつか必ず幸せを掴む事が出来る気がする。

バツが二つに増えてしまったが、これで良かったんだと思う。


大切なのは、愛と命です。次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第二十九章 愛を乞う人 その3

 

おい!

冗談は、止めろ!

そう言って俺は、咄嗟に彼女が包丁を持っている右手を押さえ付けた。

だが、油断があったのだろう。

ユリは、右手を押さえられた状態で左腕を包丁の刃に深く擦りつけたんだ。

鮮血が瀧のように流れ出した。

うわ!やめろ!!

うるさい!死んでやる!

包丁を放り投げた俺は、ユリを押さえ付けた状態で受話器に手を伸ばす。

暴れるユリのパンチや頭突きが飛んで来るが、手を離すわけにはいかない。

部屋の中は、もう血の海だ。

ガキの頃の喧嘩で何度も血は見たが、とてもじゃないが、そんな比ではない。

このまま出血多量で死ぬかもしれないというくらいの量は、充分噴き出していると思う。

パトカーと救急車のけたたましいサイレンの音が聞こえる。

俺は、半狂乱のユリを強引に玄関まで連れ出した。

飛び込んで来た警官や救急隊員にもユリのパンチが飛んでいた。

まさに修羅場だ。

数人に押さえ付けられながらユリは、救急車に押し込まれた。

俺も警官の質問に答えた後、パトカーで病院へ向かった。

病室の外までユリの怒鳴り散らす声が聞こえる。

駄目だ、これじゃあ連れて帰れない。

俺は、医者と警官に暫く落ち着くまで入院させてくれないかとお願いしたんだが、答えは、あっさりNOだった。

また何かあったら連絡してくれと言う。

何かあってからじゃ遅いんだよ!その時は、責任とってくれんのかよ!

と思わずその冷たい態度に反発はしたものの答えは変わらずだ。

畜生!警官が事務的なのは、或る程度予測は出来たが、医者までがそんな突き放すような事を言うなんて。

俺は、未だ尋常な目付きとは思えないユリを連れて帰る事になった。

取り敢えず寝かそう。

医者の薬が効いてきたのか、ユリは、あっさりと眠りについた。

それを見計らって俺は、家中の血溜まりと飛び散った鮮血を綺麗に落とす事に没頭した。

ユリが、まともな状態に戻った時に絶対に目に触れさせない為だ。

跡形も無い状態に戻し、俺もユリと添い寝するように眠りに就いていた。


これで納まってくれればいいんだが・・・次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第二十九章 愛を乞う人 その2

 

彼女の俺へのアプローチは、益々拍車がかかる。

本心を伝えるべきなのか、それとも見放すか・・・。

考えあぐねている間にユリは、家に転がり込んで来てしまった。

それでも俺の中で結論は、出ていない。

優柔不断にも程があるが、こうなってしまうとこの時点で本音を言う事が、尚更難しい状況に陥ってしまうのは当然だ。

ユリは、俺に尽くそうとしている。

だが、素直に受け取るわけにはいかない。

そんな状態で数ヶ月が経過してしまった。

どうすりゃいいんだと悩んでいた或る夜、ユリから求婚されてしまった。

全くだらしのない話だが、返事が出来ない。

ユリの表情が一気に曇る。

その数日後、あの悲惨な事件が起こってしまった。

ユリは、家庭環境が影響して情緒不安定に陥っていたいた時期があり、その間に医者から抗鬱剤のようなものを貰っていたらしいんだ。

だが、薬に頼りたくないという気持ちで貰うには貰ったが、飲まずに保管してあるという話は、一応聞いて知ってはいた。

家に帰ると何やら不吉な予感がする。

見ると台所でユリが一人でへらへら笑っているじゃないか。

ん?どうしたの?

よく見ると笑いながら目からは、涙がボロボロと流れている。

そして、右手には、包丁を握り締めている。

おい!ユリ!どうしたんだ!!

あたしの事なんか愛してないんでしょ?

思い切って結婚してって頼んだのにうやむやな返事しか返って来ないし。

あたしってやっぱり人から愛されちゃいけない人間なのよ。

もう、いいの、今ここで死ぬから。

持ってた薬全部飲んじゃった。

だから今気持ちいいの。

手首切ってもきっと痛い思いしないで死ねるんじゃないかと思って・・・。


そいつは、いかんぜよ!次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第二十九章 愛を乞う人 その1

 

ILLEGALで一躍世間に知られるようになったキャットファイトだが、最終的にキャットファイター達の人数もかなりの数になっていた。

そんな中にユリという明るい子がいたんだが、この子が明らかにモーションをかけて来るのがわかる。

ご飯食べに行こう、電話くれと毎回のように誘ってくる。

俺も確かにキャットファイトに対しては、おそらく一番真剣に取り組んでいたんじゃないかと一目は置いていた。

そういう真面目な部分は、評価していたので、じゃあ、飯でもという事になったんだが・・・。

しかし、俺の事をどんな人間かもわかっていない程の仲なのに自分の長所をこれでもかという位に喋りまくるのには、少し退いた。

はっきり言って俺のタイプじゃない。

悪気が無いのは、わかっているが疲れる。

誰でもそうだと思うが、自分が自然にしていてお互いに楽な相手が結局は、一番だと思うんだ。

だが、所々に出てくる彼女の過去の話を聞いている内に俺の心境に変化が起き始めた。

あまりにも過酷な過去だったからだ。

親からの暴力と虐め。

子供の頃から親戚をたらい回しにされた事等、聞いているだけで涙の出るような話ばかりだ。

いつも明るく見せていたのは、そういう過去と彼女なりに闘って来たからなのかもしれない。

人間は、誰しも内面を隠す為に裏腹な行動や態度をとるものだ。

その典型だったというわけだ。

この子を放っておいてもいいのだろうか?

何もしてあげなくてもいいのだろうか?

それからというもの、俺の方から何度か食事に誘うようになっていた。

あまり良い事ではなかったかもしれないが、愛情とは違う感情が、彼女に対して芽生え始めていたのかもしれない。

何か力になってあげたい。

彼女の背負って来た重い過去を少しでも軽くしてあげたい。

本当にそれだけだったと思う。

だが、ユリは、そうは受け取ってくれなかった。

俺が、ユリに恋愛感情を抱いていると勘違いしてしまったんだと思う。

そこに気付いた時点でそうじゃないんだと言いたかったのは山々だが、そんな事を言ってしまえば傷付いている心を更にどん底に落とすような事になるんじゃないかと危惧した俺は、曖昧な態度をとるしかなかった。

結果的にこの事が、その後、大変な事態を引き起こす原因になるとは、予想もしていなかった。


気持ちは、分かるが勘違いさせちゃまずいなぁ。次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第二十八章 乾いた時代に潤いを その4

 

ならばと5分の力でいってみる事にしたんだが、またしても身動き出来ない状態にさせられてしまった。

ねぇ、あんた何しに来たの?

普通は、こうやって締め上げると苦しそうにしながら悦んでいるのがM男だけどあんた全然そうじゃないよね?

おれは、事情を説明した。

へぇ、何か面白そうね。

いいよ、やってあげるよ。

ギャラは、別に幾らでもいいよ。

あたしも面白そうな事大好きだから。

他にも何人かやってくれそうな子に声掛けてあげるよ。

ふぅ、何とか来た甲斐があったってもんだ。

あとは、奇抜な格好でパンクバンドをやっていた子達にも声をかけてみると以外にもあっさりと了承してくれたり知り合いのAV関係の仕事をしていたバンドマンにAV女優の卵を紹介してもらったりで何とか面子は揃える事が出来た。

だが、頭数は揃ったが、まともに戦えるのは、シャロンだけだ。

俺は、店が終わってからの時間を利用して店内に体操マットを敷き、女の子達にショーとして見せられるような特訓を始める事にした。

これは、簡単なようでなかなか難しい。

何しろ迫力を出さなければならない。

その上で怪我もさせちゃいけない。

そして、脱がしたりは無しなのだがエロも必要だ。

女の子達には、当然短めのスカートを穿いてもらう事にした。

プロレス流の逆エビ固めや股裂き、極めつけは、両足を掴んで頭の方まで押し付ける恥ずかし固め等も大切な見せ場になる。

ビンタの多用も忘れちゃいけない。

最も喧嘩らしさを出せるのがビンタだからだ。

更に正統派と悪役に分ける事も重要だ。

戦いのストーリーも考えなくてはならない。

ショーは、大成功だった。

お客さんの興奮度も半端じゃない。

そして、回を追う毎にキャットファイト志願者までやって来るようになっていた。

人数が増えると軍団抗争も出来るようになった。

しかし、こう毎回、雑誌に取り上げられたりするとそれを真似て商売にしようという輩が必ず現れるものだ。

いつの間にかキャットファイトの団体を作り、興行を行う者まで出て来てしまった。

こうなってしまうと俺のテンションも下がってしまう。

誰もやってない事をやっていたから面白かったんだが、似たようなのが幾つも現れたんじゃ新鮮味も無くなってしまう。

スパッとやめる事にした。

散々またやってくれというリクエストはあったが、もう終わりだ。

だが、形は全く違うものになるかもしれないが、何それってみんなが驚くような滅茶苦茶面白いイベントは、必ずまた行う事になると思う。

自分のやった事で少しでも心に潤いを得る事が出来た人がいるのなら、俺は、それだけで充分満足だ。


心に潤いをって何となく良い言葉だよね。次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第二十八章 乾いた時代に潤いを その3

 

アイデアに関しては、お互いにいいものを出し合うんだが、プロモーションや現場となると奴等は、全く動かない。

その付けが、全部こっちに回って来るとなると流石に不満を感じる者が出て来るのは、致し方ない事だと思う。

そんな中、会場を恵比寿のみるくというクラブに移動し、レギュラー開催をする事が決まった。

イベントタイトルもILLEGALと改めてキャットファイトを前面に押し出す作戦だ。

その1発目の開催日にとうとう切れてしまったのは、何と俺自身だった。

集合時間になっても揃っているのは、こちら側のスタッフだけだ。

数時間遅れて何食わぬ顔をしてやって来た奴等を俺は、全員追い返した。

彼等の自由なスタイルが嫌いなわけじゃない。

俺も自由が大好きだ。

だが、自由とは、自分でケツを拭いて初めて自由と言える筈だ。

好き勝手にやってそれで誰かにケツ拭きさせるのは、只のわがままなガキのする事だ。

居ても厄介なだけのスタッフを切り捨てて行ったこのイベントは、大成功を収めた。

身動き出来ないくらいのお客さんの楽しそうな笑顔を見て俺のアドレナリンは、出っ放しだ。

自由と開放の空間が、完成した瞬間だ。

会場の動員記録もどうやら塗り替えたらしい。

だからと言って大儲けしたわけではないが、心は満足感で一杯だ。

そんな事があって丸山との縁は、切れてしまったも同然だが、彼が、常々言っていた世の中に潤いをという部分は、俺もしっかり継承していく積りだ。


 

余談だが、このイベントで一番苦労したのは、キャットファイトをやってくれる女の子を集める作業だった。

試合は、3試合。

実力派ハードコアバンドに対抗するわけだから中途半端な事は、出来ない。

俺は、先ず、SMクラブの格闘技プレイに目を付けた。

素人の喧嘩ショウと言っても人前でそれが出来る子が簡単に見つかるとは思わなかったからだ。

それなりに緊張感を出す為には、やはり経験者のアドバイスも必要だ。

風俗で格闘プレイというのがある事を知った俺は、風俗雑誌を片っ端から調べ上げ、小龍(シャロン)という子に目を付けた。

どれくらいの事が出来るのかは、実戦で対決するのが一番だ。

風俗は、一通り網羅していた俺だが、SMクラブは、初めての体験だ。

格闘技プレイのシャロン女王様をお願いします。

しばらく待たされて姿を現した彼女は、如何にも気の強そうな表情をした美人だった。

聞けば、空手から合気道等、数種類の格闘技の有段者だという。

どこまでやる?本気で来るんならこっちも本気でいくけど?

本気でと言われても女性相手に本気を出すわけにもいかず、適当にと曖昧な事を言ってしまったのが彼女の逆鱗に触れてしまったらしい。

軽く組もうとした所を倒され一瞬で腕を決められてしまった。

やべぇ、この女マジに強い。


やっぱりプロをなめちゃいかんぜよ。次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第二十八章 乾いた時代に潤いを その2

 

そして、俺もその一人に加わる事になった。

これが、利益を追求する目的のものであったら俺は、おそらく参加しなかったと思う。

そうではなく、時代に何かを問題提起しようという部分に惹かれたんだ。

初回は、西麻布の老舗クラブを会場に選んだ。

先ず、店内にスケボーランプを設置して自由にスケボーが楽しめるコーナーを用意した。

そして、チームメンバーの提供したファッションに身を包んでローラースケートを履かせたコンパニオンを十数人用意。

そこに豪腕ハードコアバンドを8バンドぶち込む。

勿論、火照った体を癒すチルアウトフロアのDJも重要な役割を果たす。

自分で言うのも何だが、物凄くいいイベントだったと思う。

これは、是非続けたい。

絶対に続けるだけの価値があると確信した。

第2段は、新宿のクラブだった。

スケボーを取り入れたイベントが、一挙に多発しだしたのにちょっと嫌気が差したので今度は、そう簡単に真似の出来ない事をやってやろうと考えて出て来たのが、キャットファイトだった。

キャットファイトとは、要するに女の子の喧嘩ショーだ。

女子プロレスとは、似ているようで全く違う。

女の子同士が、へなちょこパンチをしたり屁っ放り腰のキックをかましたり、髪を引っ張ったりのあくまで喧嘩を見世物にしたものだ。

これは、受けた。

一挙にこのイベントに火を点けたのは、3回目に渋谷のでかいハコで開催したあたりからだったと思う。

やはり、キャットファイトが珍しかった事やハードコアとのマッチングがピッタリだったのが理由だと思う。

音楽誌、ストリート系ファッション誌だけでなく週刊プレイボーイ、少年ジャンプ、そして、あの東京スポーツまでもが採り上げてくれたのには驚いた。

CLUB TOYER!というタイトルで行っていたこのイベントは、とうとう1000人バコで開催されるまでに成長したんだが、表向きとは裏腹に内部では、危険な内紛が起こり始めていた。

丸山の集めたクラブ系スタッフと俺が揃えたスタッフとの間に溝が出来初めていたんだ。


内紛勃発か?次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第二十八章 乾いた時代に潤いを その1

 

店には、バンドマン以外にも色々と面白い連中が出入りするようになっていた。

絵描きの丸山もその一人だ。

こいつの才能は、半端じゃなかった。

彼は、美術系の学校に通っていたとかそういうタイプの人間ではない。

全くの独学、我流でとんでもなく素晴らしい絵を描く奴だった。

いやぁ、金無くってさ、今日泊めてくれない?

そう言って平気で1ヶ月も居座るようなろくでなしでもあるんだが。

そして、突然姿を消して1年後位にまた突然現れる。

凄っげぇ綺麗な子がいて声掛けたら簡単にやらしてくれちゃってさぁ、そしたら一緒に住もうって言われてその子の家にいたんだよ。

でも、俺って仕事してないから金無いじゃん。

それでその子に小遣いせびりまくってたら追い出されちゃってさ。

当たり前だろ、それじゃあヒモじゃねぇか。

本人が、それでいいって言ってたんだからヒモでも何でもいいんだよ。

それで行く所無いからまた俺の所来たのか?

いや、今日はさ、一緒にイベントやらないかなって話しに来たんだ。

うちの店でか?

違うよ、もっとでかい所でさ、ハードコアとファッションとかアートを絡ませたクラブイベントだよ。

やっぱさぁ、今の時代って乾いてるじゃん?

良くないんだよ、そういうのって。

もっと潤いが必要なんだよ、世の中に。

突拍子もないような話に聞こえるが、こいつの言ってる事は、非常に正しいと思う。

デジタル化が進み世の中が便利な方向へ急速に変化しつつある中で失っていく物の大切さをこいつは既に危惧していたんだ。

潤いが、テーマって事で面白い事やってる奴等を目一杯集めちゃおうよ。

時代を切り開いていく奴っていうのは、きっと彼のような連中だと俺は、漠然と思った。

何か面白そうだな、よし、やろう!

彼は、バブル全盛期に時代を築いたクラブの店長やオーガナイザーを掻き集めチームを作った。


面白そうな事が、始まる予感が・・・次回へ続く


 

LOVE OR DIE!! 第二十七章 切っても切れない仲 その2

 

そしてもう一人、うちの店にとってというか、俺自身の中で一生忘れられない恩人の話をしたい。

それは、開店当時、店のエース格だったパニックインザズーというガールズバンドのドラマー、パティだ。

彼女は、俺より少し年下だったが、俺が店を始めてから最初に出来たバンドマンの親友だった。

右も左も手探り状態の俺を影からいつも的確なアドバイスで助けてくれていたのが彼女だった。

俺は、何かと壁にぶち当たり出口の見えなくなった時に必ずパティに電話を掛けたものだ。

時には優しく、時には怒鳴ったりもして助言をくれる姉貴のような存在だ。

そして、相談事の最後には、必ずこう言ってくれた。

大丈夫、死にゃしないから。

きっと上手くいくよ。

自分が正しいと思ってやってれば必ずいい方向に行くから。

いざとなったらあたしが力になるからさ。

良くない事の後には、必ず良い事がやって来るように世の中は、そう出来てるんだから心配しなくて大丈夫よ。

その言葉にどれだけ救われた事か。

そんな逞しい彼女だったが、残念ながらパティは、もうこの世にいない。

突然の病死だった。

大丈夫、死にゃしないからって自分が死んでどうすんだよ馬鹿野郎。

葬式に駆けつけた俺は、大声で泣いた。

散々助けて貰って俺は、未だ何も返していないのに。

優しい旦那さんと小さい子供を残して30代で死ぬなんて悲し過ぎるよ。

神様が本当にいるのならどうしてこんなに早くパティを連れてったんだって怒ってやりたいよ。

でも、短かったかもしれないけど彼女は、幸せな人生を送れたんじゃないかと思う。

そう信じたい。

本人に色々力になってくれて有難うって直接言えない事がもどかしいけど、いつも何処かで見守ってくれているんだろう?パティ!


人は、どんな時でも誰かに助けられて生きていけるものなんです。次回へ続く


 


 

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