たばこなんて体には悪いし煙いし臭いし金も勿体無いしって吸わない人は皆思っているんだろうな。
実際あんなものは無駄意外の何物でもない。
確かに間違いではないと思う。
だけどその無駄に意味があるんだという事を愛煙家の代表として言っておきたい。
無駄な事っていうのは人生において実は本当の意味の無駄ではない場合が多分にあるものだ。
例えば仕事中にお茶を飲んだりっていうのも一見無駄な時間のように思えてもその後の効率を高める結果に繋がったりするだろう?
何処かに就職して自分に合わないからと辞めたとしてもその間全て無駄だったのかといえばそうでは無い筈だ。
結婚して離婚しました。
じゃあ、その結婚していた時間の全てが無駄だったなんて事も無いだろう?
結婚っていうものがイメージだけではなく実態として分かったろうし異性の見極め方も進化した筈だ。
1日中家で寝ていました。
それにしたって寝ている間に体力を蓄えたり神経を休めたりって意味もあったりするし。
たばこにしても同じ事なんだ。
一服が気分転換になって次の行動のバネになったりアイデアが生まれる切欠になったりって事も多分にある。
それからもっと大きな意味としてはかっこ付ける為ってのもある。
かっこ付けの何処に意味が有るんだよって思うだろうがこれが特に男の場合は大有りなんだ。
まあ聞け。
俺が初めてたばこを吸ったのは15の時だ。
そんな年頃っていうのは大人への憧れと反発が同時にやって来る時期でもある。
視線が子供だったのが少しづつ視界に大人の姿が入って来る訳だ。
それは綺麗な女の人を連れて歩いていたり酒を飲んで楽しそうにしていたりかっこいい車を運転していたりする大人への憧れとずるい事をして金儲けしたり奥さんに隠れて浮気したり戦争をして人を殺したりする大人への反発が入り混じっている。
だから15のたばこには俺も大人だぜって背伸びしようとする自分と大人に悪態をつこうとする自分が含まれている事になる。
でも勝っているのは完全に背伸びの方なんだ。
たばこは法律で二十歳未満は禁止されているんだから大人の吸うものだ。
って事はたばこを吸えば大人になれるのかもしれない。
眉間に皺を寄せてプハァーってやればあなたって大人なのねって言われるのかもしれない。
咥え煙草で優しそうな目で見つめればセックスさせてくれるのかもしれない。
とか思うんだよ。
要するに子供からすればたばこっていうのは大人の代名詞みたいなものなんだな。
最初はむせ返って吸う事なんか出来やしない。
それが徐々に吸えるようになってそれと同時進行で大人への階段を登っていく訳だ。
単なるかっこ付けに実も伴っていく事になるんだ。
だけど味なんか分かりはしないんだ。
たばこの美味さが分かるのは30過ぎてからだよ。
人生の酸いも甘いもをある程度経験してからだな。
そんな年齢になって何かをやり遂げた後の一服、辛い事を乗り越えた後の一服、たばこってこんなに美味いものだったんだって教えてくれるのはそんな時だ。
そして煙を吐き出しながら人生って満更悪いものじゃないなって知る事になるんだ。
どうだ?たばこってそんなに意味の無いものじゃないって少しは分かってくれたかな?
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