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三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
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お前は既に死んでいる

ここ数年大晦日と言えば紅白歌合戦より格闘技が話題になるが今年は同じ格闘系でも異色の大会がひっそり行われる様だ。インディープロレスの大会がそれで主催はあの大仁田厚だ。俺はもう過去の話だが大仁田とは何回か関わりを持っている。それを話す前に俺と大仁田との共通点について話しておいた方が良いかも知れない。先ず、歳は一緒だ。そして家族と離れて大人の世界に飛び込んだのも同じ16歳の時だ。まだ有るんだ。なんと会社を設立した年も一緒なんだ。そして、お互い完全に借金で会社を始めていてスタート時の奴の手持ちは5万円、俺は殆ど0に近かった。こうなると誰だって多少は意識するもんなんじゃないか?プロレスが大好きで頻繁に会場通いしていた俺は大仁田がまだ全日本プロレスの小僧だった頃から試合を観ていたんだ。そんな事も有って奴が会社を立ち上げて小さいながらもプロレス団体を作った事を知った時には意識したどころでは無く、完全にライバル視していたんだ。あいつは最初の興行での試合終了後、リングでファンに涙を流して土下座をし、どうかこの団体を潰さないでくれって頼んだんだ。丁度俺もあっちこっちで頭を下げまくっていた時期だ。そしてそんな必死に生きようとする大仁田の姿はファンに感銘を与え、後に大ブレークへと繋がる訳だ。うちの店もなんとか軌道に乗って来た頃、俺は大仁田に出演交渉をしに奴の会社を訪れた。五反田の小さな雑居ビルの中にあいつの会社は有った。本人に直接思いの丈をぶちまけた訳だが予想通りこちらの気持ちを受け止めてくれた彼は出演を快諾してくれた。イベントも大いに盛り上がり彼もインディー同士、お互い頑張ろうと満足そうな顔で帰って行ったんだ。それから数年が経過し大仁田もメジャー団体に特別参加したりテレビのバラエティー番組へ顔を出す等、最早完全に全国区に成っていた頃のことだ。俺はちょうどその頃ハードコアバンドとキャットファイトを織り交ぜたクラブイベントを都内各所で行っており紆余曲折は有ったが何とか週刊プレイボーイや東京スポーツ迄もが取り上げてくれる程のビックイベントまで盛り上げる事に成功していた。そして大仁田がバンドを始めた事を知りこのイベントへの出演をオファーしに再度彼の元を訪ねる事になった。数年振りに会った彼の印象は以前とは少し違って見えた。純粋な赤ん坊の様な澄んだ瞳に濁りが見えたんだ。ここで何かを察して交渉を止めれば良かったのかもしれないが一度決めた事は強引だろうがやり通そうとする俺の性分が判断力を乱した。会場は恵比寿のみるくだった。でかい無機質なハコよりそれ程広さは無くても味の有るハコで窒息する位のカオス状態を作りたかったのととにかくパンクを理解してくれるハコだったからだ。あのみるくの中に600人すし詰めにして俺は完全に良い意味でテンパっていた。バンド連中もキャットファイトの子達も皆頑張った。皆良い顔をしている。お客さんも皆目を輝かせて良い顔をしている。俺はこんな顔を見る為にこの仕事をやってるようなもんだ。さて、大仁田の出番だ。会場に大大仁田コールが沸き上がる。が、現れない。暫くたっても現れない。俺は心配になり外に出ると彼は車の中で雑誌を読んでいる。どうなってんだ。っとそこにマネージャーが苦虫を噛み潰した様な顔で言いやがったんだ。楽屋に溜まっている連中を全部追い出して床に溢れたビールも全部拭いて掃除してくれなければ大仁田は出ませんよ。何言ってんだこいつ、あれはバンド連中が楽屋で大仁田を大歓迎しようとして待っている姿じゃないか。俺は必死で説明したがこのぼんくらには耳が無い様だ。中止という文字が脳裏を過った。思い倦ねて店内に戻ると相変わらずの大大仁田コールだ。くそう、バンド連中をまるで汚いものの様に扱おうとする大仁田側の態度は許せない。俺はステージ裏に廻った。お客さんの期待に破裂しそうな輝いた表情が一斉に目に飛び込んだ。バンド連中は皆仲間だ。説明すればきっと解ってくれる。最大の屈辱感を噛み締めながら大仁田を迎え入れたのだがここでまた信じられない状況が起こった。ダイブしようとステージに上がって来る子達を大仁田がマジ蹴りしだしたのだ。皆興奮状態なので何が何だか解らない内にライブは終了した。俺はこいつを早く外に出さなきゃまずいと思い出口に誘導しようとしたのだが粋なり胸ぐらを掴まれ「なんじゃこりゃ〜!」と威嚇して来やがった。俺は完全に裏切られた。インディーの代名詞とも言われていた大仁田はもう居なかった。うちの店に出た時にお客さんやバンドマンの目を潤ませる程に感動を届けてくれた大仁田はもう居なかったんだ。俺は心の中で大仁田に別れを告げた。その大仁田が相変わらずインディーという言葉を利用して金儲けを目論んでいる。だからどうした。黙殺だ。大仁田厚よ、お前は既に死んでいる。
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