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避妊手術

家の二匹の猫が避妊手術をして帰ってきた。
複雑な心境だ。
こんな事を勝手にして良いのだろうか。
良心の呵責を感じる。
本人達はいったいどう思っているのだろう?
女性が子供を産む事は人生の中の非常に大きな喜びだろう?
それは猫だって同じなんじゃないかな?
それを本人の了解も無しに奪い取るなんて。
どう考えても人間の横暴な行為だよな?
そう思っていながら何故手術を受けさせたのかと言うとこの避妊手術というのはやはり猫の体的に適した時期というのがあるようなんだ。
それがなるべく今月中という事だったんだ。
俺は最初はこんな手術を受けさせる積りは無かったんだ。
子供を産んで数が増えても全部飼う積りだった。
成る様になるのが一番自然で幸せだろうと思っていた。
だからそういう意味で受けさせたというのとは違うんだ。
そうじゃなくて避妊手術を受けなかった場合に子宮の病気になる確率が非常に高いという事を知ったからだ。
相当に高い確率らしいんだ。
そして、決定打になったのは或る友人の話だったんだ。
彼もまた猫を二匹飼っていた。
俺と同じ様に手術を受けさせるべきかどうか迷ったそうだ。
そして、彼のとった行動は1匹は受けさせてもう1匹は受けさせないというものだった。
実際はもっと細かい諸々の事情も有ったのかもしれないが結果的にはそうなった。
すると数年後に手術してない方の猫が、やはり子宮の病気になってしまったそうだ。
そして、数年間の治療の末に亡くなったそうだ。
それも自然の成り行きと言ってしまえば確かにそうではある。
そうではあるんだがそこに命というものが係わって来るとなると複雑だ。
子供を産んで育てる幸せと命を秤に掛けて俺は命の方を選んだ。
本来は猫自身が選ぶべき事をそれが出来ないので俺が選んでしまったわけだがこれが正しい選択だったのかどうかは未だ分からない。
分かっているのは身勝手な行動をしたという事だけだ。
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