ちょっとリフレッシュ期間を貰っていたら俺にとってかなり大きなニュースが飛び込んで来てしまった。それは、ダイエー(今はソフトバンク)ホークスの王監督が勇退すると宣言した事だ。皆にとっては、ふ~んという位かも知れないが俺にとっては、重大事なのだ。
俺は、野球が大好きなのだが(高校野球は除く)大好きになったのは、王さんがいたからなのだ。とにかくカッコ良かったのだ。独特の前傾姿勢からの1本足打法から放つ大きく弧を描くホームラン見たさに小学生の頃からしょっちゅう球場に足を運んだものだ。やがて人の内面性も少し気になり出す年頃になると今度は、王さんのダンディな部分に大きな魅力を感じたのだ。一言で言えば内から発する美みたいな物だろう。
派手な長島とは、対照的に寡黙にそしてストイックに野球に打ち込む姿勢に惹かれたのだ。大口は、決して叩かず結果で黙らせる男のロマンの象徴の様な人だった。
殆どの人が忘れているかもしれないが国民栄誉賞というのは、当時の福田首相が王さんを讃える為に創った賞なのだ。それ程、国民の多くが惹かれ尊敬の念を持っていたのだ。13年連続ホームラン王、2年連続三冠王、通算本塁打868本というとてつもない記録もさることながら人間、王貞治を誰もが愛し賛辞を送ったのだ。
一昨年王さんは、癌に侵され胃を全摘出している。俺としては、ここでもう監督業から引退して欲しかった。監督と言えば癌を再発させる元凶となるストレスを多大に受けるポジションなのが解り切っているからだ。しかし、というかやはり彼は、翌年には、復帰してしまうのだ。ここが凡人との大きな差だと思う。
凡人なら自分の延命を先ず考える筈だが、彼にとっては、自分が信じた道を生き切るという姿勢と選手やファンに夢と勇気を与える事が己の命より重いという事なのだろう。
ファンの前での勇退の挨拶で体調が思わしく無かったと王さんは言っているが、真意はそんな事は二の次で今期の不本意な成績に対して自ら全責任をとるというのが全てなのだろうと思う。球団側は、既に王さんの永久監督を宣言していたのだがこんな潔さの中にもダンディな生き様が見て取れるというものだ。
命がけという言葉をよく使う人がいるがこの言葉の本当の意味が解っている人は、少ないと思う。人が一生の中で命がけを実行する事は、生涯に2~3度位しか無い筈だ。軽はずみに口にする言葉では無いのに連発する奴がいるがこういうのは、先ず信じない方が良い。胡散臭い政治屋の常套句でも有るが、本物はこんな言葉等必要とせず行動の後に言葉が付いて来るものなのだ。
本物の男とは、男のロマンとは、何なのか、それを俺に教えてくれた数少ない中の一人が王さんなのだ。
男のロマンを気取る奴は多々いるが、本物はそうそうお目にかかれるもんじゃ無い。
皆も女が惚れるだけじゃなくて男も惚れる男を目指してくれ。いや、少し違うな。
男が惚れる男には、女の方から寄って来る。こっちの方が正解だな。
PR