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義理とバランス

俺はこの日記の中で何だかんだと若い君等に対して苦言を呈する事が多かったがそれは君等が未だ発展途上ではあるけれど限りない可能性を持っている事を知っているからだ。
そんな君等が俺の書いた文章で何かを感じ、人生の糧や踏み台にしてくれたりという事になればこの上なく嬉しい限りだ。
前にも言ったけどこういうのは順番があるんだ。
俺がガキの頃には先輩達から同じ様に色々な事を伝授されたり注意されたりしてきたわけだ。
それに対して実際に若い時っていうのはそれ程、恩に感じたりしないものだ。
勿論、一昨日話したみたいな当たり前と思っているような奴は論外だ。
そういうんじゃなくて感謝の気持ちは持っているんだがそこそこ程度というのが普通だと思うんだ。
それは何故かと言うとそんな言葉の本当の重さが分かるのに時間が掛かるからだよ。
例えば親を大切にしろって言ったってその深い意味での大切さが分かるのは実際に親を亡くしてからだと思うんだ。
若ければ若いほど自分の事で精一杯なのは当たり前だからな。
だから俺も心の底からの感謝の気持ちを先輩達に伝える事は出来なかったよ。
でも、その気持ちというか義理は返さなくちゃいけないだろう?
その一番良い方法が俺が教わってきた事を君等に伝えていくという事だ。
そして、今度はそれを君等が次の世代に伝えていくというのが自然の流れというものでもある筈だ。
そんな事言ってもその時代、時代でものの考え方は変わっていくんだから過去の考えがいつまでも正しいとは限らないだろうという意見もあると思う。
それは勿論、俺もそうだと思う。
だけど、何年経っても変わらない普遍的な部分も必ず含まれている筈なのでそこを拾い上げるのは聞き手側の判断だと思うし、そこは自分達で考えるべき部分だと思う。
という事でそんな順番が来た時の心得みたいなものも一応知っておいた方がいいかとも思うので幾つか並べてみよう。
こういう行為というのは打算があってはならない。
俺が教えてやったんだみたいな上から目線的態度は最も恥ずかしいしそんな人として未熟な奴の助言なんか誰も聞かないと思っておいた方がいい。
見返りを請求するなんていうのは話にならない。
既にもう貰うものは先輩達から貰っているんだからそれは筋違いというものだ。
そして、あくまで強制してはいけない。
それは全ての現象に100%の答えなんか無いからだ。
人それぞれでどんな答えを見出そうがそれはあくまで本人の自由だ。
ヒントの一つになれれば十分くらいの感覚で丁度いいのかもしれない。
心の閉ざされた人に対しては決して無理矢理押し開こうとしてはいけない。
その扉は自力のみで開くもので他人の開けられる代物ではないからだ。
但し、直接的ではなく間接的に開けられる場合はあるが。
全ての現象には原因と結果がありその結果に至る前には必ず切欠があるという話は今迄に何度もしただろ?
その切欠によって生れた結果が自分にとってプラスに作用したのならばいつかそれを返す時が来る筈だという話だよ。
そうでなきゃバランスが取れないだろう?
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