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知恵と智慧

折角良い方向に進んでいるのかもと思うたびに大きな地震が起こって振り出しに引き戻される。
自然界の仕打ちは、やはり人の想定を遥かに超えている。
これが大自然を破壊しまくった報復なのだろうか?
それとも、石原新東京都知事が言う我欲を貪る日本人に対する天罰なのだろうか?
俺は、全ては人間の思い上がりが起因していると思う。
科学や機械があれば人間は、何でも出来る。
そんな驕りがあるから原因は、と訊かれた時に想定外という言葉しか出て来ないんだと思う。
自然からすれば、人間なんか米粒より小さい存在なんだという所に帰り立ち、謙虚にそれを受け入れ自然と共に成り立つ人間社会を築く事に目覚める時期が来たという気がする。
これだけ高い堤防ならどんなに大きな津波が襲ってきても防げる筈だ。
と決め付けていたのは過去の例がそうだったからに過ぎない。
過去最大がそうだったからそれ以上は無いと決め付けたのは、人間だ。
自然が決めたものでは勿論ない。
物事の道理を判断して計画し、正しく処理していく能力が知恵というものだ。
その知恵の出処はと言えば人間の作った学問、経験から得るものだ。
俺達は、この知恵を最大限に機能させて文明を創り上げた。
しかし、この知恵には、大きく欠けているものがある。
それは、心の成長を蔑ろにしている部分だ。
高い知識を得、物が豊かになった反面、心が貧しくなったと言われるのは、この知恵を高める事に没頭してきたからだ。
自然は、気付かそうとしているのかもしれない。
次の段階に進めと言っているようにしか思えない。
同じ読み方だが、智慧というものを知っているか?
物事をありのままに把握し、真理を見極める認識力。
そして、自分の心と向き合い正しく律する行為の事だ。
この智慧を身に付ける事が出来るかどうかで人類の将来は大きく二つに分かれるだろう。
一見豊かで華やかだが恨み、妬み等の悪意も同居する知恵。
己の弱さに対峙する苦難は過酷だが、自然も含む大きな愛を原動力とする智慧。
相反するように思えるこの二つを上手に使いこなせるようになった時、明るい未来は、必ずやって来ると俺は確信する。
亡くなった人達の無念をしっかり握り締めて、俺達は進化しなければいけないと思う。
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