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悪魔の生贄

スタッフのI君が今日は救世主兄弟についてブログで書いてくれと言う。
何だろう?救世主兄弟って?
新手の新興宗教かな?
それとも亀田兄弟の新しいキャッチフレーズか?
確かにボクシング界では救世主に違いないもんな。
なんて色々想像しながらネット検索してみると何やら重苦しい内容の文面にぶち当たった。
救世主兄弟とはsaviour siblingsの訳で簡単に言えばドナーベビーの事のようだ。
ドナーベビーというのは臓器等を移植するのが目的でこの世に生まれた子という意味だ。
人間の体の部位を移植する場合ってその相手が誰でもオーケーってわけじゃないのは知っているだろう?
そこにはドナーとしての適合性がなければならないわけだ。
これを遺伝子操作によってドナー適合させ、予め病を持つ兄や姉の為のドナーになる事を前提に産み落とされる存在がドナーベビー、救世主兄弟という事だ。
実際にアメリカやイギリスには既に数百人存在するらしい。
去年公開された私の中のあなたという映画がこんな救世主兄弟を題材にしたものなので興味を持った人は観てみるといいだろう。
しかし、こういった事が実際に行われている現実に関して皆はどう思う?
確かに我が子の命を救う為なら藁をも掴むという親の気持ちは理解出来る。
だけどその子を救う為に生まれた子も我が子には違いないわけだ。
俺の考えを結論から言うと悪魔の選択だ。
人間には例え難病を抱える子の親だろうが何だろうが人の命を道具にする権利は無い。
それが我が子を救う為だから構わないと言うのなら戦争を正当化する事、原子爆弾を正義の為と大義名分掲げて投下する事と同じだと思う。
そこに親子、兄弟の関係という奇麗事が存在するから犠牲愛や菩薩愛と混同しがちだがこれは単なるエゴだ。
ここに気付かずに何百人も救世主兄弟という名の犠牲者を誕生させている人間という存在はやはり愚かとしか言えないだろう。
こんな行動は人間が未成熟な生き物だという証だ。
この日記の中でも何回も言ってきた事だが人間がこの世に生を享けるという意味は進化する為だ。
その進化というのは心の進化も伴わなければならない。
そして、その心の進化を妨げる大きな原因が人が人を殺すという行為なんだ。
何が救世主兄弟だ。
これはまさに悪魔の生贄だ。
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