って事で昨日の続きを話さなくちゃな。
喫茶店っていうのは俺にとってとても大切な場所なんだ。
昨日も言ったように決してコーヒーショップとかカフェとかじゃないんだ。
何処が違うのかって?
そりゃあ、空気だよ。
喫茶店っていうのは大抵それなりの歳のマスターとかママさんとかが居るもんだろ?
そうするとそういう人が苦労して守ってきたものが趣として漂っているものなんだ。
分かるかな~、そういう味わいみたいなものが。
そういうしみじみと漂う空気って人を癒す事が出来るんだ。
京都や奈良とかの寺とか行って心が癒されるなんていうのと少し近い感覚だよ。
俺は昨日も言ったが15年間飲食業界にいた事があるんだ。
その中で喫茶店で働いた事もあるんだがそこで俺は人生の大恩人になる人に出会っているんだ。
Mさんというママさんだ。
このママさんに出会っていなければ俺はおそらく自分で店を経営したりなんて道には進んでいなかったと思う。
この時既に頭の中で将来ライブハウスをやりたいという気持ちはあったがそれを現実の物に出来たのはここでの経験があってこそなんだ。
俺が入った時にこの店は瀕死の重症患者のようだった。
潰れる間際のような重苦しい空気が漂っていたのを想い出す。
そこで何をどう思ったのかママさんは未だ10代だった新入りの俺に店を任すと言い出したんだ。
俺の何処を気に入ったのかは知らないが責任を持たされればこっちも俄然やる気になるじゃないか。
そして、今迄ママさんが作ってきた暖かい空気に俺の若い感覚を加えた味があってだからと言って古臭く感じさせない魅力的な店を作り上げていく事になったんだ。
俺は自分を評価してくれたママさんの為に必死で働いて店もいつの間にか繁盛店と言われるようになった。
この期間に学んだ事は非常に大きい。
商売のノウハウを全て教えられたようなもんだ。
だから恩返しがしたいんだ。
ママさんはもう俺の想い出の中でしか存在しない。
それならママさんと同じ空気を醸し出している店を大事にしようと思っているんだ。
もう何十年も前の出来事だがママさんへの大恩は今でもしっかり胸に刻まれているからね。
PR