5000人の被害者を出し12人が死亡したオウム真理教による地下鉄サリン事件から早くも14年が経過してしまった。
教祖の麻原の死刑は確定しているものの公判は今も尚、続いている。
死刑が決まっていても容疑の数があまりにも多い事と本人が頭がおかしくなったふりか本当かは分からないがそんな状況らしいので結審に至っていないのだろう。
という事で今日はオウムに関して話す事にする。
皆、驚くかもしれないが俺はオウムの阿佐ヶ谷道場に行った事があるんだ。
その上、事件の実行犯の井上容疑者ともう一人の幹部は俺の当時住んでいた高円寺のマンションに来た事もあるんだ。
その頃、俺は或る女性と同棲していたのだが別れる事になりちょうど別々の暮らしを始めかけた頃だった。
だが、お互い男女の仲は終わっても人間同士としての信頼に終わりはなかった。
その最大限に信頼していた人がオウムを薦めてくれたんだ。
俺はそういうものに敏感に反応するタイプだ。
だが、興味は有るが宗教団体に入る事は俺の主義ではない。
と、一旦断ったのだが入信しなくてもきっと良い話を聴けるからというので取り敢えず訪ねてみる事にした。
そこはインドやタイ等で観られる様な飾り付けと柔道の道場が一緒になった様な空間だったと記憶している。
迎え入れてくれたのが井上さんだった。
今となっては不謹慎な言い方になってしまうが俺は彼に出会った時、一目でこの人は善人だと判断した。
そのうえ何の曇りも無い純粋さも感じ取ったんだ。
眼力にはかなりの自信を持つ俺はこの人とは親しくなれるかもしれないと結論付けた。
オウムとはどんな所か等と説明を受けたが勧誘された覚えは無い。
俺も自分なりの宗教に対する考え等を告げそれなりに良い時間を過ごせたと思いながら帰宅した。
すると翌日になって彼から電話が掛かって来たんだ。
なんでも明日、富士に有る道場に帰るとの事だった。
これがその後、大捜査が行われたあの上九一色村の施設である事は間違いない。
そして、帰る前にもう1度話がしたい、渡しておきたい物も有るとの事だった。
その日の俺の帰宅は夜中になるのでそれは無理だと断りを入れたのだがそれでも良いと言うので自宅近くの喫茶店で待ち合わせをする事になった。
なんとか指定の店の前に辿り着くと1台の車の中から井上さんが現れた。
そして、此処には邪念の空気が有るのであなたの家で話せませんかと言ってきたんだ。
一人暮らしを始めていた俺に断る理由は無い。
今から思えばあまりに無防備だったのかもしれないが信頼出来ると判断した相手にはとことん身を晒すべきというのが俺の主義だ。
そしてこっちの都合でこんな時間になってしまっても不満一つ言わずに合わせてくれた彼の真摯な姿勢に益々親近感を覚えていたのだと思う。
話は長くなるのでここから先は次回だ。
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