2ヶ月程前にうちのスタッフからそう言えば加川さん亡くなりましたねと言われた。
加川さんとは、加川良さんの事だ、と言ってもこれを読んでる君達の中でどれだけの人が彼を知っているのだろう?
加川良とは、数十年前に起こった爆発的なフォークブームの中で常に中心にいた偉大なフォークシンガーの事だ。
フォークと言えば、ポップな方向性でこのジャンルを日本の音楽シーンの頂上まで引き上げた吉田拓郎や井上陽水、かぐや姫なら誰もが知っていたものだが、その裏で決して驕らずマイペースでこつこつと心に届く歌を歌い続けていった影の大物的存在が何人かいたんだ。
所謂フォーク界の重鎮的存在だ。
その中の一人が加川良なんだ。
俺が彼の曲を初めて聞いたのは中学生の時だった。
衝撃的だった。
自分の中のもやもやした物がどんどんクリアに見えて来るような何とも言えない物凄いものを聴いてしまったと感じたんだと思う。
加川良を聴いていなければ、俺は、今間違いなくライブハウスとは無縁の世界に居た筈だ。
16歳で家出をし、二十歳になって実家に帰るまでの4年間、俺の名前は加川だった。
彼の存在は、俺にとってそこまで大きかったんだ。
5年前の4月だった、店を開店して22年後に彼は、俺の店で歌ってくれた。
本番前にとうとう彼と二人で話しをする機会を得た俺は、あの頃の少年に戻っていた。
彼は、とても喜んで話しを聞いてくれて、そうか〜そうやって立派な不良が出来上がったんだねって大笑いしてくれた。
最高の褒め言葉をいただいてしまった。
俺は、彼の訃報を聞いた時に何故か悲しい気持ちにはならなかった。
受け入れたくなかったからなのか受け止める態勢が出来ていなかったからなのか、とにかく時間をおきたかったんだと思う。
そしてさっきやっとパソコンに加川良と打ち込んでみた。
youtubeで彼の歌う姿を3時間観続けた。
俺は、また少年に戻ってしまったようだ。
あなたのお陰で立派な不良になれました!
ありがとうございました!
PR