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三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
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初黒星

いやぁ、昨日は亀田とポンサクレックの試合を録画するのを忘れちまったぜ。
あの試合は亀田の本当の実力が試される最大の正念場だって事は分かっていたのに。
ボクシングを知っている人なら実力ではポンサクレックの方が全然上だと思っていた筈だ。
だけど特別な星の下に生まれたような光を放つ亀田ならもしかして勝てるかもなんて高を括っていたんだがやっぱり駄目だったみたいだな。
結果的にはこれで23戦して初の黒星って事だけどもしかして負けて良かったんじゃないか?
どんな世界でも本当に強い奴っていうのは負けを知らなきゃいけないもんだよ。
彼も誰もが認める真のナンバーワンを目指すなら良い勉強になったと思うよ。
ポンサクレックはその誰もが認めるナンバーワンだったんだから仕方ないよ。
キングの座は未だ未だ険しいって事だ。
また新たな目標が出来て今後が楽しみだと思えばいいんだよ。
ところで試合後に亀田の親父が立会人とレフェリーにいちゃもんをつけたらしいな。
毎回の事なんでああ、またかって感じだが今回の捨て台詞は強烈だ。
「採点がおかしいやんか、言い訳すんな!クビや!」
ってライセンス無期限停止処分中のあんたが言うなって。
「俺を怒らしたらどないなるか、覚えとけよ。おのれの首とったるぞ、こら!」
昔の極道ならまだしも最近のヤクザだってこんな事言わないぞ。
仁義無き戦いかよ、まったく。
だが、恫喝の後に一言洩らした「俺はもうどうでもええんや」という部分が泣かせる。
我が子の為なら自分はどんな酷い処分でも受けるというこの捨て身の親心が彼のいい味でもあるよな。
過去を辿れば息子達も随分と暴言を吐いてきたし次男の反則負けの試合は極めつけだ。
常識から言えばこんな無茶苦茶な親子は淘汰されても仕方が無いのかもしれない。
だが、皆知っているんだ。
親子って本当はこういうもんだって事を。
恥ずかしげも無く親父を称えて涙する息子達。
子を守る為に感情を剥き出しにする不器用な親父。
俺はやっぱり好きだよ、こういう親子って。
皆ちょっとスマートに振舞い過ぎだよ。
彼等みたいに感情をストレートに表に出せる人って実はとても魅力的だと思うんだ。
周りに迷惑を掛けるのは行き過ぎだけど気持ちはしっかり伝わるしさ。
人間は感情の動物って言うだろう?
だけど人間が動物と違うのはその感情をコントロール出来るという部分だ。
それは言い換えれば生きる知恵が感情を上回るという事でもあると思うんだ。
現代人と言われる我々はそれが正しいと心に刻み付けている。
でも、本当はそれを解き放つ事が出来るものならそうしたいと心の奥底で願っているんじゃないか?
だから、それを実践している亀田親子に人気が集まるんだと思うよ。
なんか朝青龍とそっくりだな。
人間臭い部分で人気はあるけど行き過ぎちゃって墓穴を掘る所がさ。
或る意味ロックな生き方ではあるよな。
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