ジャイアンツの木村拓也コーチがくも膜下出血のため亡くなった。
37歳だった。
37歳って随分若いよな。
くも膜下出血っていきなりぶっ倒れて意識を失っちゃうんだろ?
周りの人達からすれば亡くなった事は当然悲しい出来事だけど苦しまずに人生を終えた事はせめてもの救いかもしれないね。
俺は最近、彼女の付き添いで病院に行く事が多くなった。
そこは総合病院なので単なる風邪の症状で来ている人もいれば重症患者も入院していたりするわけだ。
昨日も痩せ細って殆ど骸骨状態の老人が体に沢山の管を付けられて移動式ベットで運ばれていく場面に出くわした。
あれはいつか見た光景だ。
そう、俺の親父もあんな風に骨と皮だけになってあっちこっちに管を付けられていたなぁ。
家族は本当に辛いんだよ。
何が一番辛いかって元気な時の姿を知っているだろう?
それがどうしてこんな悲惨な状況になってしまったんだっていうギャップを目の当たりに突きつけられてそこから逃げられないって事が辛いんだよ。
なのに本人は必死で生きようとしているからこっちが辛い表情を見せるわけにもいかないだろ?
心の行き場が無いんだよ。
黙って見ているだけだもんな。
身内が苦しんでいるっていうのに。
だけど、その病院には産婦人科もあるから産まれたばかりの赤ん坊も見れるんだ。
ガラスで覆われた中には何人も新生児が並んでいるんだ。
あの子達を見ていると色んな事が思いつくから不思議だよ。
この子は将来何になるのかなとか10年経ったら顔も全然変わっているのかなとかね。
いずれ大きくなったらセックスをして今度は自分達が親になるんだよね。
そして、何十年と生きた後、あの老人のように痩せこけて体に管を沢山付けられる日がやって来るんだな。
やっぱり不思議な空間だよ、ああいう総合病院っていうのは。
人生の最初と最後が同時に見れちゃうんだから。
考えてみるとその間って数十年しかないんだよな。
赤ん坊は自分の人生が途方も無く長いものって感じているかもしれないけどね。
そして最期はああなるっていう自分の将来の姿が同じ建物の中で存在しているのに気が付かないでいるんだよ。
人の一生って何なんだろう?
自分では分かっている積りでもやはり儚さは拭い切れないもんだ。
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