尊敬する人というのは、誰にでもいるものだと思う。
勿論、俺にも数え上げたらきりが無い程いる。
だけど、どう転んでも敵わない人となると数が絞られる。
俺には、パッと思いつくだけで3人いる。
その一人は、フジヤマというインディーショップの店長である渡辺さんという人だ。
当時、未だロック、パンクの表面的な部分しか分かっていなかった俺に直接的だったり時には空気でその本質的な部分を教えてくれた偉大な大先輩だ。
そりゃあ、俺にも自信はあったよ。
だけど、渡辺さんに何か一言言われると返す言葉が無いんだ。
全く持って反論出来ない。
天と地、神と蟻んこ、太陽と人工衛星くらいの違いはあったと思う。
渡辺さんには何回も怒られた。
止めちゃえば?ライブハウスなんかと何回言われたか分からない。
開放感が全然足りないという意味で言ってくれたんだと思うんだがこの言葉は重かった。
全くその通りだったからだ。
今でも心にしっかり沁み込んでいる。
その言葉があったから、おそらく今まで一度も止めようなんて思わず続けてこられたんだと思う。
開放感こそライブハウスの命だ。
それが全然駄目となったら只の貸しホール、貸しスペースでしかない。
場所貸しスペースの為に俺は、自分の全てを捧げようと思ったわけじゃない。
だけど、なかなか理想の空気が生み出せない。
考えれば考えるほどドツボに嵌る。
その状態が何年続いた事だろうか。
あれから20年。
ようやく渡辺さんからは、怒られなくなった。
少しは、認めてくれたのだろうか。
自分の中では、80%はいっているんじゃないかと思うんだが、あとの20%が未だ足りない気がする。
その20%のお陰で未だに渡辺さんの前では、俺は単なる小僧でしかない。
全然、対等な位置にいるとは思えない。
実際そうだし。
だけど、これがもし100%までいっちゃったら俺はどうするんだろうとも思う。
隠居でもして爺街道まっしぐらか?
それとも全部放り投げて一から出直しかも。
どうでもいいか、そんなこと。
あと20%も残ってるんだし。
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