野坂昭如氏の昔の歌の中に黒の舟歌というのがある。
皆も何処かで聴いた事があるかもしれないが出だしはこんな感じだ。
男と女の間には深くて暗い河がある。誰にも渡れぬ河なれど、えんやこら今夜も舟を出す。
男と女の奥深い部分の核心を突いたような素晴らしい詩だと思う。
男女の仲ってどうしていつも縺れ合う糸の様に絡まるんだろう?
何の障害も無くスムーズに事が進む恋愛ってあるんだろうか?
あるのかもしれないがそれって案外味気無くてつまらないものかもしれないけど。
そうかと思うと或る事に集中したいから恋愛は必要無いという人もいる。
別に宝塚やAKB48に入っていなくても君等の周りにもきっと居る筈だ。
スポーツをやっている人の中なんかでは特に多いのかもしれない。
集中力が欠けるほど恋愛は魅力的な存在だという事なんだろうね。
ところが最近は何かに打ち込んでいるというわけでもないのに恋愛を必用としない人が多くなったような気がする。
それも断然男性に多いんだ。
少し前に流行った草食系という言葉で括ってしまえばそれまでなんだが。
草食系男子が恋愛を必要としないのは簡単に言えば欲求が弱いという事とマイペースに生きる事を優先しているからだと思う。
あの歌のように深くて暗い河をわざわざ舟を出して渡る奴の気が知れないって所だろう。
一見、合理的でクレバーな生き方のようにも受け取れる。
だが、恋愛を拒否する人の最大の理由はおそらく別の所にあるようにも思える。
やはり心に傷を負いたくないって事だと思う。
誰だって心に傷なんか負いたくないもんだ。
でも恋愛のスタートは出会いだ。
出会いっていうのはいつか必ず別れがあるという意味も含まれている。
そこに愛があれば身を引き裂かれるような思いをいつかするという事だ。
そう考えると恋愛っていったい何なんだって思う事もある。
それでも深くて暗い河を漕ぎ出す人は止まない。
何故だと思う?
それはあの歌の続きを聴けば分かる。
ROW&ROW ROW&ROW 振り返るなROW ROW
恋愛って過去じゃない。
今が全てだって意味だと思う。
今を生きるって事だよ。
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