今年は、プロレスファンの俺としては辛い出来事が多い。
3日前にはプロレスラーの星野勘太郎がこの世を去った。
少し前に相棒の山本小鉄が亡くなったのを知ってショックを受けたがまさか星野も逝ってしまうとは.......。
ラッシャー木村、ジョー樋口、愚乱浪速。
全員、今年亡くなっている。
日本プロレス、国際プロレス、全日本プロレス、新日本プロレス、ノアと今迄何回会場に通ったことか。
ジャイアント馬場が亡くなった時にまるで心の支えを無くした様な気持ちになったものだがその弟子達を応援する事で俺の中のプロレスは生き延びる事が出来た。
だが、それも昨年の三沢光晴がリングで事故死した時点で終わってしまっていたのかもしれない。
それまでは、ノアの武道館大会なんかかなりの確率で会場に足を運んでいたしテレビ中継は100%観ていたっていうのに。
そして、今年に入ってあの頃のスターがどんどん消えて行くのを知って残念というよりも只々空しい気持ちで一杯だ。
随分前にも話したと思うが俺は生れた時点で既にプロレスファンに成らざるを得ない宿命を背負っていたと言っても過言ではない。
これは、爺さん、親父と受け継がれた血統みたいなものなんだ。
とにかく赤ん坊の時からプロレスを強制的に観せられていたからね。
そして、それが決定的になったのは家から電車で3つ4つの所に当時あった田園コロシアムっていう1万人くらい収容出来る野外スタジアムでジャイアント馬場対フリッツフォンエリックの試合を親父と2人で観に行った時だ。
鉄の爪と異名を持つエリックの必殺技はその名の通りアイアンクローだ。
こめかみにこの技を掛けると馬場の額からは大出血だ。
そして、この日、エリックはこのクロー技を馬場の胃袋に向けて掛けたんだ。
所謂ストマッククローって奴だ。
圧巻だったのは、そのまま技を掛けた状態で馬場のでかい体を持ち上げたんだよ。
プロレスをあまりよく知らない人の為に細かく説明すると馬場が横になっている状態で胃袋のあたりを片手で掴んでそのまま持ち上げたって事だよ。
その頃の馬場は145キロだぜ。
それを寝かしたまま片手でだよ。
そして、この日のセミファイナルはアントニオ猪木&吉村道明対ディックザブルーザー&クラッシャーリソワスキーのアジアタッグ選手権だ。
この試合も何十年も前なのに未だに覚えているよ。
ブルーザーとクラッシャーはブルクラコンビと言われた世界一の悪役タッグチームなんだ。
必殺技はクラッシャーが相手を押さえ付けている所へブルーザーがロープの最上段から飛んでくるアトミックボムザウェーっていう技なんだ。
技って言っても踏み潰すだけなんだがその踏み潰す場所がやばい。
何処だと思う?
何と金玉なんだよ。
金玉なんか本当に潰されたらショックで失神するか下手したら死んじゃうよ。
その合体技を吉村に掛けたんだ。
未だ小学校入りたてくらいだった俺は思わず股間を握り締めたよ。
いや、拳を握り締めたの間違いだ。
すっげえ!吉村早く逃げろ!猪木にタッチしろ!ってね。
そして、母親の財布からくすねた10円を持って駅の売店に通う日が毎日続く事になったんだ。
勿論、東スポを買う為だ。
その頃、東スポは10円だったんだ。
東スポって今では訳の分からんでたらめな記事が一面になっているけど当時は必ずプロレスが一面でね。
なんて事を話しだしたらきりがないからもう止めるが要するに俺の人生にとってプロレスは切っても切れない存在だったんだ。
それが少しづつだが確実に薄らいでいくような気がするんだ。
偶にコンビニなんかにプロレス雑誌があると立ち読みするが、もうあの頃の熱い思いは帰って来ない。
俺が夢中になった物とは明らかに別物としか思えないんだ。
若い選手がどんどん育って来てはいるがそれは若いファンが支えてくれるだろう。
歳を取るっていうのはこういう事なのかと最近少しづつ分かって来たような気がするよ。
10円玉握り締めて駅の売店まで行って売り切れていたら隣の駅まで走って買いに行った小僧が遠くへ消えていくようだ。
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