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苦境の音楽業界

CDが何処も彼処も売れていない。それも極端にだ。例えば15年前と比べれば多分10分の1位じゃないかと思う。勿論配信に移行した部分も多分に有る訳だがそれだけではない様だ。とすると過去の数字は音楽以外の所へ移動してしまったか単に不景気による買い控えという事になる。この状況は抜本的な事を改善しないと当面変わらない様に思う。それじゃあ先ずどこから変えて行くかというと価格を大幅に下げる事から始めるべきではないだろうか。はっきり言って日本のCDは高過ぎる。アメリカの2倍なのを皆認識した方が良い。特に邦楽が高過ぎる。今の半額にしても微妙な位だと思う。だがレーベル側がぼろ儲けしようと思っているのかというとそういう事ではないんだ。制作コストが高過ぎるんだ。先ずレコーディングスタジオからして高過ぎると思う。機材も家賃も人件費も高いから仕方が無いと言われるかも知れないがそれで使われる頻度が下がるのなら安くして高回転させる方法へ移動して貰いたいものだ。特にインディーの場合、制作コストの最もかかるところがこの部分なので此処が改善されればそれだけでかなり違う筈だ。プレス代や印刷代はそれ程かかるものでは無いのだが次に問題なのが宣伝費という事になる。作った側は少しでも多くの人に聴いて貰いたいから成る可く広く宣伝したいと思うのは当然である。例えば音楽雑誌にインタビューの掲載を頼んだとするとそれだけで多額な金額を請求されるか同等額の広告を載せる事が条件だったりするんだ。これは所謂バーターと言われるやつで簡単に言えば交換条件って事だ。皆が読んでいるインタビュー記事はそうやって成り立っている訳だ。そのバンドがかっこいいからインタビューされていると思ったら大間違いだ。勿論雑誌側でも純粋にそのバンドを気に入って載せたいという事も含まれるだろうがそれより先に先ず金が有るかどうかが先決になっている筈だ。雑誌側は本が売れてなんぼだけでは無くアーティストサイドからも利益を得ている訳だ。インタビュー記事をみて高評価されていたのでライブに行ったら全然大した事無かったって経験は良く有ると思うがそれはアーティスト側が金を使ったというただそれだけの事だ。不純が罷り通る堕落した世界が成り立っていると言っても過言ではないだろう。そうしなければ成り立って行かないのであれば廃刊にするべきなんじゃないだろうか。音楽の世界にこんな方式を持ち込まれたんじゃ純粋にかっこいい事をやっていても金が無けりゃどうにも成らないという事になってしまう。音楽は文化でも有る訳でその文化を大切にしよう、応援したいという気持ちが先に立つべきであって金が先に来たらその文化を潰す事になるという簡単な事を解っていない連中が多過ぎる。というか本性は金が欲しいだけの連中がこんな世界に偉そうに入ってくんなという事だ。ここで掛かる金が削れたらもっと安くCDを売れるのに。それによってその音楽に触れる事が出来る人が少しでも多くなる筈なのに。という風にインディーでもこんな状況なんだからメジャーはその数倍余計なものがくっ付いて来てコストを下げれないのが実情だろう。そして買い控えられて増々状況が悪化するという悪循環が起きる訳だ。そこに持って来て配信という安価で音を買えるシステムが現れてCDを売る側が瀬戸際迄追い込まれているのが現実だ。こういった価格的な理由の他に売られている物の内容にも大きな原因が有ると思う。はっきり言って皆後追いなんだ。勿論中には斬新な素晴らしいものを作り出している人達も沢山いるのだが大体が売れた物の後を追う様に作風を真似て金太郎飴の様な作品を寄ってたかって出そうとする。これを一つのシーンと言ってしまえば聞こえは良いが業界をリードすべきメジャーが完全にこういう方針だから面白いものがなかなか出て来ない。インディーで高い評価を受けていたとしても今はそういうものは売れないと一蹴されてしまう。そして聞く側はもう一歩先を求めているのにメジャーはそこをリスクが高いと判断して足を踏み込む事を躊躇い後手に回る事になる。だから相手にされなくなってしまうのだ。保守的な発想が功を奏す事も有るが音楽業界にこれを持ち込んでは衰退するのは明らかだ。ゲーム業界を見れば一目瞭然だ。どんどん新しいものを出して来て活況を呈している。リメイクものみたいのをチョロチョロ出しているのとは訳が違う。素晴らしいバンドはいくらでもいるのにそれを世に拡げる事が困難になってしまっている今の状況を歯痒く思っているのは俺だけでは無い筈だ。何とか打破したい。
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