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繰り返される問い掛け

被災地復興の為に作られた高速料金無料化制度を悪用するトラックが、日増しに増えているらしい。
例えば九州から東京に荷物を運ぶとすると、わざわざ被災地まで行きUターンして東京に向かうそうだ。
被災地で降りればそれまでの高速料金はただになる。
そして、被災地から出発したという事にすれば東京まで行き着く料金もただだ。
呆れる。
いや、それを通り越して悲しいよ。
こういう善意を悪用する輩に対して激しい憤りを感じるのは、俺だけではないと思う。
そして、やってる事が、あまりにもせこい。
人としてのモラルもプライドも何も無い。
そうやって手に入れた臨時収入が幾らになるのか知らないが、そんなものに価値など無い。
やってる事は、やくざと同じだ。
いや、本来のやくざっていうのは、弱きを助けっていう彼等流の正義があるからやくざ以下だ。
だが、こういった人としての質を問われるような事は、常日頃からあらゆる場所に点在しているものだ。
満員電車の中で年寄りや体の不自由な人の為に設けられている優先席に平然と陣取る者、身障者用の駐車場を当然のように利用する健常者も同列だ。
自分だけが良ければいい。
行き着く所は、全てここだ。
人間には、母親の産道から頭を出した時から魂が肉体を離れるまでの間にその質を試される場面が何度と無くあるものだ。
その中で頻繁に繰り返されるのが、この自分だけが良ければそれでいいのかという問い掛けだ。
常識的に考えれば、それは、間違いだと誰もが答える。
だが、それを実践出来ているかと言えば、口ごもり眉間に皺が寄る人が大半だろう。
そして、この問い掛けは繰り返される。
一旦クリアした積りでも未だ未だ甘いと繰り返される。
どうしてそんなに執拗なのかというと、実践しない方が楽だからだ。
人は、魂を磨く為にこの世に生を受けるという実体の無い上に半信半疑の目的と目の前にある自己中心的幸福を秤に掛けた時に誰しも一旦は後者に傾くものだ。
そりゃあ、一方は、実体が無いんだし、誰かが監視しているわけでもないんだから。
そして、失敗を繰り返すわけだ。
勿論、魂を磨くという意味における失敗だけど。
だが、この失敗を何回か経験する内に自分が成長していない事に気付きはじめる。
そう気付いた時点でワンランクアップだ。
だが、その後にもっと大きな自己中心的幸福の誘惑がやって来る。
そして、脆くも崩れさる。
この繰り返しが、この種の問い掛けのシステムでありカラクリだ。
付き抜けられなければ、この問い掛けは、来世、来々世でも続くようにセッティングされている筈だ。
日本という国を一個人として考えた時に、今回の震災で受けたダメージは、あまりにも大きい。
身も心もボロボロだ。
だが、それは、魂をも駄目にするものとは違う。
逆にこんな時だからこそ尚更魂磨きに精を出すべきだと俺は思う。
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