小室哲哉が捕まったから今日はその事を話すと思ったろう?だが俺は彼の事を良く知らない。っていうか歌謡界の事はまるっきり知らないに等しいのだ。音楽に関わっているのにと思うかも知れないがロックと歌謡曲の世界は全く持って別物だし興味の欠片も無いので語る気にもならないのだ。という事で今日は男道試練の十番勝負の続きを話す事にしよう。男を磨く為には風俗体験も大切だと言ったが勿論恋愛をして女性と付き合う事も重要なのは当たり前の事だ。うう、思い出しただけでも胸がキュンとするぜ。俺が初めて女の子と付き合ったのは15の時だ。相手は同じ学校の同級生だった。美形という訳では無いが個性的でとてもチャーミングな子だった。胸が強烈にでかかった事も鮮明に覚えている。所謂初恋という気持ちだけの疑似恋愛みたいなのは有ったが付き合ったのはこの子が初めてだった。その子と何処でデートをしたかというといつも決まった二人だけの場所が有ったんだ。俺は生まれも育ちも東京だが30年以上前の東京は今とは全然違っていた。カラオケボックスやカフェやディズニーランドなんて存在すらしていなかった。東京といっても工業地帯だったので近所に有ったのは薄汚れた便所臭い喫茶店位のもんだ。俺達のお気に入りの場所は車の中だった。勘違いすんな。車って言ったってまともな車じゃないぞ。廃車のそれもボロボロの車の中が俺達の最高のデートスポットだったんだ。俺も彼女も家は多摩川の側でその多摩川の土手沿いに何台か車が捨ててありその中の一台がドアも付いていてソファーも残っていたんだ。その中が俺達だけの夢の様な時間を過ごした大切な場所だった。毎日、何時間も話をして彼女はいつも歌を歌ってくれたんだ。上手くはないが可愛い歌声だった。そして初めてキスをした。お互い初めてだから緊張して震えて歯が当たったりしておかしかった。初めてのキスってのは死ぬ迄忘れないものかもしれないな。今でもはっきり覚えているからな。そしてキスが段々慣れて来ると今度は体をまさぐり合う様になる。こうなって来るともう好きから愛してるに変わってたりして頭の中は彼女の事以外考えられなくなって来る。もう心も体も独占したくなって迫るのだが彼女からすると処女を捧げる大切な儀式はそれなりの場所でしたかったんだと思う。付き合い始めて間もない頃、俺達は渋谷の連れ込み旅館の門を潜った。ラブホテルじゃないんだ。そんな洒落たもんじゃなくて当時多かった純和風のやる為だけの旅館の事だ。部屋に通されると女将さんがこう言ったんだ。敷布は汚さないで下さいね。これは意味深な言葉だ。彼女が処女だと見越して血を付けて汚すと洗っても落ちないから困ると言いたかったのだ。言い回しはソフトだったが大切な彼女を汚いものの様に言われた気がして気分が悪かった記憶が今でも残っている。風呂に入り気分一新して事に移ろうとするのだがなかなかタイミングが掴めない。初体験どうしってのは大変なのだ。何とか頃合いを掴んで挑むのだが上手く挿入出来ない。この状態が何時間も続いてしまった。男としてこのまま諦めてしまう訳にはいかず痛がる彼女を強引に押さえ付け何とか強行突破に成功する。いや性交した。こうして俺はかろうじて子供から大人への壁と処女膜を破る事が出来たのだった。SEXに関して最初が肝心でここで上手く出来無いと尾を引くと言われるがこれは本当だった。次に付き合った人との間でも最初はなかなか上手く出来なかったのだ。最初の大変だった記憶が甦ってしまったのと自分も相手も緊張させてしまいどつぼにはまった状態に自ら導いてしまったのだ。遠い昔の事では有るがスムーズにSEXが出来る迄の道程は意外と長かった様に思う。まあそうやって少しづつ大人への階段を登って行く訳だが経験を積むに連れてあの青臭くて甘酸っぱい感触を失って行く様な気もする。大人になるという事は手にするものも多いが失って行くものも沢山有るという事なのだろう。そして男道試練の十番勝負はまだまだ続くのだった。
PR