千葉で5歳の女の子が全裸で捨てられていたという事件を知っている人は多いと思う。容疑者は既に拘留されていて1週間してやっと核心に触れる供述を始めた様だ。現地の状況を報道するワイドショーなんかにもやたらに出ていたから犯人と目される人物をテレビで見た人も多いと思う。彼は母親と二人暮らしをする21歳無職のハンディキャップの有る人物だ。テレビのインタビューの時に直ぐ解ったがおそらく知恵遅れだと思う。どういう経過が有ったにせよ人を殺めてしまったのだから罪を償わなければならないのは当然だが俺が気になったのは母親の事だ。このお母さんは近所の食堂に努めており一人息子を溺愛していた。終業間際にはいつも息子が向えに来ており余り物の食材を貰って二人で帰宅する毎日だったらしい。そして月に1回、親子でその食堂へ食事に行く事が母親の一番の楽しみだったという。こんな話を聞くと無性に胸が痛む。俺の母親は一人暮らしだ。今は亡き父との想い出の詰まった家に常に一人で住んでいる。俺が実家に住めば安心ではあるのだが俺の生活サイクルが普通とは真逆なのでそうなると世話焼きの母親の寿命を縮める結果になるのは分り切っているのでそうはしていないんだ。前にも話した事が有る筈だが俺は16歳から家族とは離れた所で生きて来た。まあ、家出をした訳だが逃げる家出では無く前向きな家出だったので未だに後悔や罪の意識等さらさら無いのだが母親にとてつもない心配をかけてしまった事だけは常に脳裏に有ったし今でも申し訳無く思っているんだ。親孝行って一体なんだろうという事も家出するぎりぎり迄よく考えたつもりだ。そして出た結論は息子である俺が精一杯生きる事だった。4年間まるっきり連絡もしなかった。母親はきっと生きた心地がしなかったと思う。今こうして書いているだけで目頭が熱くなって来ちまった。俺の行動は決して間違っていなかったと思う。でも母親が犠牲になったのは間違い無い。針の筵の上に4年間も居させた様なもんだ。容疑者の母親はもうこの街には居られなくなりましたって小さくなって言っていたらしい。でも何処へ行っても針の筵からは逃れられないのは明白だ。それも一生続くんだろうし。俺がどうこうって言うのもおかしな話だが励ましてあげたい。親の気持ちは親になってみないと分らないと世間では言う。俺には子供はいないがそうは思わないよ。親にとんでもない心配をかけまくって来た奴には分ると思うよ。正月は必ず母親の顔を見に帰るとしよう。
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