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死とは生也

人は死んだら何処へ行くんだろう?
色々な説があるにはあるがこうだと断定出来る者はいない。
死んでから戻って来れる人がいないんだから仕方が無い。
一番それに近いのは仮死状態を経験した人の感想ぐらいのものかもしれない。
実は俺の母親は過去にこの仮死状態を経験している。
俺が未だこの世に生まれる前の兄貴を出産する時の事だ。
母親の話によると確かに三途の川らしきものは有ったらしい。
そしてその川の向こうで自分の母親、俺からすれば婆ちゃんが迎えに来ていたらしいんだ。
だけど、行こうとしても行けなかったのは後ろで誰かが自分を引き止めようと声を掛けていたからだと言うんだ。
家族達が頑張れとか死ぬなとかいう声は仮死状態でも届くという事なんだね。
昨日、椿山課長の七日間という何年か前の映画を観ていてふと母親のそんな話を思い出した次第だ。
映画は原作を超えられないとは良く言うがこれに関しても例外ではなかった。
なので是非原作を読んで欲しいと言いたい所だがストーリー事態がとても斬新で面白く出来ているので本を読んでいる時間の無い人は映画でもその内容の良さは伝わるとは思う。
簡単に言えば悔いを残したまま死んでしまった3人が現世に舞い戻ってやり残した事へのけじめを付けていくという内容だ。
そして、その期限というのが初七日の明ける前までという所がまた程好いスピード感を持たせてくれて子気味好いんだ。
だけど、この初七日の明けるまではこの世に戻って来れるという部分は非常に気になる。
実際、初七日の内は魂は未だ今生に有ると言われているからね。
この小説では死んだらあの世へ行くかこの3人のように現世に立ち寄るか消滅するかの選択を出来る場が設けられているんだがこれが本当だとしたら皆はどれを選ぶのかな?
俺は出来る事ならそのままあの世へのコースを選択したいけど。
そんな事を考えていると如何にこの世の最期を迎えるかという事とこの世に生ある内にどう生きるべきかというのは同意義だという事に気が付く。
まるで禅問答のようだけど死とは生也、って事なんだね。
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