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三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
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愛の本懐

68歳の加藤茶が、再婚した。
奥さんは、なんと45歳も年下の23歳だ。
加藤茶といえば5年前に大病を患って生死の境を彷徨った筈だ。
それが、再婚っていうんだから恐るべき生命力だな。 
ドリフのメンバーは、もう二人も死んでるっていうのに。
俺の知る限り映画監督の鈴木清順が、48歳下の奥さんをもらっているからそれに次ぐ快挙だ。
ここまで歳が離れた相手とは、付き合うという所までもいかないのが普通だ。
それは、何故だと思う?
親が反対するから?
奥さんが未だ女ざかりの内に旦那が介護生活になっちゃうかもしれないからか?
それとも、子供が二十歳くらいの時には、もうこの世にいないかもしれないからか?
どっちにしろ将来を考えての事だよな。
でもさ、じゃあ相手の歳が近ければそれだけ幸せになれるのかというと、一概にそうとは言えないよね。
将来なんて誰にも分からないんだし。
そんな事より、やっぱり大切なのは今だろ?
今、二人の愛がどのくらいの位置にあるかって事が大事なんじゃないかな?
愛には、レベルがあると思うんだ。
自己中心的な愛に始まって、それがお互いを思いやる愛に変わる。
変わるというよりも進化とか昇華って言葉の方が適切だな。
そして、もっと高みにあるのが、結果的に自己犠牲になるかもしれない無償の愛だ。
ここまで辿り着くと愛というものが理屈や打算じゃ語る事の出来ない光の結晶みたいなものに例えてもいいんじゃないかと思うんだ。
凡夫の俺には、一生掛かってもそこまで行き着く事が出来るかどうか分からないけど。
でも、人が目指す場所って本当は、そこにあるんじゃないかって気がするんだ。
だとしたら、恋愛に歳の差を持ち出す事ってもしかしたら意味の無い事なんじゃないかって思えてこないか?
例えその期間が1年、いや、1日しか無かったとしても光の結晶まで辿り着けたなら、それはそれで本望なんじゃないかって俺は思うよ。
付き合う相手の歳が大きく離れていた場合に不安を感じるのは、年下の方だ。
今は、楽しくてもそれが長く続かないんじゃないかと疑心暗鬼になる筈だ。
その後にやって来るであろう寂しさの方が大きいんじゃないかってね。
さっきの話の中の自己中心的愛から進化出来なければこの先は無い。
だったら離れられなくなる前に別れた方が無難かもと思う筈だ。
それはそれで間違いという事ではないと思う。
しかし、誰もの心の奥底に潜む愛の本懐は、その程度の心意気じゃあとてもじゃないが手にする事は出来ないんじゃないかな?
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